第3話 記者会見

 件のUFO飛来・爆発事故の見解についての警察による記者会見は

札幌の道警本部にて行われると事前情報が流れたが所轄の函館南警察署からの強い要望により南警察にて行われる事となった。

後ろには署長・北条一凜がいると思われる。

 

 この記者会見に急遽、全国のマスコミが押し寄せ混乱も予想されていた。

なぜなら、ネットの動画サイトに一瞬だが

アップロードされた動画がTV各局を始め、ネットでは世界的規模で大騒ぎになりつつあったからだ。


どんな動画もダウンロード保存される時代。


そして今回の動画に関しては

「UFOではないか」

「被害者は宇宙人か地球人か」などとSFめいたオカルト的噂が世界中に広がり、文字通り世界中が注目する記者会見だった。


 南署においては、あらゆるマスコミが大挙して押し寄せたために

事件から翌々日の夕方18時に会見開始となっていた。


 会見場には申し込みと許可証が配布され各社の場所取りなどで小競り合いも発生し現場の対応も混迷を極めていた。


会見の対応署員の中に森刑事、林刑事、宮田ミキも配属され得体の知れないジャーナリストの排除などを担当していた。


 事件から二日後の18時、予定通り記者会見は開始。

 

 質問攻めの混乱を避けるため、予め記者団の質問を、まとめて新聞記者の代表が質問することになった。


矢面に立ったのは南署愚連隊・鬼軍曹と、あだ名がある

函館南警察署・副署長、秋葉勝教あきばかつのりであった。


部下を3名従え会見場に着席した。

「えー南署、副署長の秋葉です。

それでは事件の詳細につきまして警察の見解を、ご説明いたします。

まず爆発事故の詳細につきましては現在、調査中でございますので断定的な容疑者、事故原因につきましての発表は再度、時間を頂いた上での発表とさせていただきます」


「あー、なんだよ、何やってんだ警察!」

予定より大幅に待たされイラついた記者のコメントで会場の人々は色めき立ち各々大声あげ質問しだした。


「はい、ご質問は、ごもっともでございますが、ただいま調査中であります。各、記者様のご質問には、いずれ、お答えいたしますので、落ち着いてください、では代表の方どうぞ」


「ネットに上がった動画についての警察の見解をお聞かせください」


「はい、ネットに上がりました事件の動画につきましては我々警察も確認いたしております、しかしながら昨今の流れですが

あの動画が本物であるのか或いはCGによる捏造ではないのか、といった検証中でありまして断言は控えますが我々警察は愉快犯によるCG捏造動画の可能性を否定できません。


よって現在、動画をアップした人物を重要参考人として事情聴取致しておりますが、詳細につきましては後日、警察より発表になると思いますので、先走った報道は厳しく謹んでください」


「では、質問を変えます。動画内に写っている倒れていた黒い服装の二人について詳細お願いいたします」


「はい、色々な憶測があるようですが、あのふたりは人間ではありませんでした、配置した者の目的は不明ですが2体のマネキン人形でした」


マイクを持った記者代表が食ってかかる。

「し、しかし動画では、マネキン人形ではなく黒い服の人間が動いている様が撮影されていましたが、どういうことでしょうか・・・・」


「ですから、あれは、ただのマネキン人形で、人形がさも動いているような動画は愉快犯によるCGなどによる捏造動画ではないかと、我々警察も科学的解明をしている最中なのです」


「では、その人形・・は今どこにあるのでしょうか」


「はい、現在、我々南警察にて保管されております」


「では私たち記者の前に、その人形を公開してください」


「はい、現在、事件の詳細につきましては捜査の重要な情報となりますので、証拠品の公開は控えさせていただきますが、二体の黒い人形に関しましては警察の威信にかけまして人形であると断言させていただきます」


「それなら公開しろ!」

「なんだよ、隠蔽工作じゃないかっ!」

記者たちは思い思いの野次を飛ばし

「事実隠蔽か」と騒ぎ出した。


記者代表が続けて質問した。

「では、爆発につきましては、どういう見解でしょうか」


「はい、爆発に関しましては、爆発炎上した車からプラスチック爆弾使用の痕跡が見られ、タイマーや携帯電話を流用した起爆装置の残骸が見つかっており、現在テロリストによる犯行も視野に入れた捜査を展開しています」

「では今回の爆発はテロリストの犯行との見解でしょうか」


「いいえ、現在に至りましてもテログループ等による犯行声明はございません。よって愉快犯が存在し個人で動いて犯行に及んだのではないかという線でも捜査している状況です」


「普通、テロであれば、何か重要な建物やイベント等が狙われますが、

今回は早朝の田舎町、函館で起きた事件です。周辺に何か重要な人物などが居住、あるいは滞在していたのかなど情報はありますか」


「はい、現場周辺には何人かの外国人が滞在しており、個人を狙った犯行の可能性も拭いきれません」


「では、お伺い致します、例の動画において現場上空にて存在していた光る飛行物体につきまして警察はどういう見解でしょうか」


「はい、動画に捏造疑惑が、ある以上、現場上空に浮かんでいたとされる飛行物体はCGによる嘘である可能性が高いというのが警察の見解であります」


「それは、わかりました、ですが私が現場周辺を取材したところ、住民による飛行物体の目撃証言が多数確認されました、警察はそのような目撃証言を精査されているのでしょうか」


「はい、現在、現場周辺の目撃証言につきましては情報を収集、調査中でございまして、動画の真偽と証言に関しましては、再度結果報告の記者会見の場を設けますので、しばらくお待ちください。


なお飛行物体は複数のドローンの可能性もあります、ただし攻撃能力を備えたドローンとなりますと一個人で開発・製造は考えられない状況で、

CG捏造、はたまたテロか個人かなど関係各省とも連携をとりまして情報収集致しておるのが現状であります」


「では、南警察・副署長としての、ご意見は、いかがでしょうか」


「えー、現在、解っていることは、人的被害者が、犠牲者はいないということのみで、いらぬ憶測は捜査の妨げにも成りかねません、よって、お伝え出来ることは以上です」


そうして立ち上がり深く一礼すると副署長以下は退出し

至極一方的に記者会見は終了したが記者たちの不満は函館の夜に大きな影を落とし始めていた。

「ちょっと待ってください、ちょっとおーっ!」


そして警察は目撃者たちに事のを目撃者に説明して廻った。


 後に興奮した様子で目撃証言をしていた者たちは一切何も語らなくなり

もし語るならば、今度は自分たちの身の危険を心配しなくてはならないという心情が見え隠れしていた。


 確かに地球製ドローンとは思えぬ飛行物体が十字街の上空で見たこともない破壊行為に及んでいたのだが、一体、どこの誰が、どこの国籍のものなのか・・・


 そして、目撃証言と動画の真偽についての記者会見が二度と行われることは無く数週間が経ち事件の色は徐々に薄くなってきていた。

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