主役の座
「やってられるか!」
彼は赤い帽子を地面に投げつけた。
彼の怒りの原因はただひとつ。すぐ
彼は何十年とあるゲームの主役を務めてきた。時には海に潜り、時には空を飛び、時には猛然と炎の中を駆け抜けた。
それもこれも全ては姫を救い出すため。だがもう我慢も限界だ。子供たちに操られ何度無駄に命を落としただろう。キノコなんて糞喰らえだ。
「頼む! 一度でいいからおれに悪役をやらせてくれ!」
そして彼の望みは叶えられた。敵の親玉として相手を妨害することの楽しさよ。
嗚呼、なんたる快楽。まさに甘美なる悦び。
囚われ怯える姫を眺めながら彼は狂喜乱舞した。
だが悪役の宿命か。やがてその時も終わりを告げる。
しかし彼は満足だった。これほどまで相手を妨害することが楽しいとは。
やがて、次のゲームがもうじき始まると知らせを受ける。彼はもう抗いはしない。今度はちゃんと主役として振舞おうじゃないか。
ただし、またどうせ姫を攫いに来るんだろう?
じゃあそれを思いっきり邪魔してやるとしよう。
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