(三)-5

 翔太は拓弥の腕を振りほどき、少し離れた。

「どうして」

「……それが」

 翔太が指を指した。その先には拓弥の股間のイチモツがあった。翔太の態度に勢いが削がれ、前に垂れ下がってしまっていた。

「ごめん、さすがにそれは……」

 顔を真っ赤にしながらそういう翔太に対し、拓弥は「すまん」といいながら、慌ててズボンにそれを無理矢理押し込んだ。

「僕だって会いたかったんだよ。でもほら、今日は劇を観て欲しかったから。それに明日もまだあるし……。あ、僕、加島君のことが嫌いになったわけじゃないからね」

 翔太はそう言って笑顔を作った。


(続く)

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