(二)-11

 観客からの拍手が場内にこだまする中、分厚い緞帳どんちょうが客席と舞台の間を仕切るようにゆっくりと下りてきて、劇は終了した。

 それは面白いとは言えなかったが、原作をベースにしつつも若い才能による妙な創造性が移植され、不思議な感覚を受けるような内容だった。

 主役の男装した王子様役の女の子は力強い演技で、芸能界の下手なアイドルなどより、よっぽど上手だった。その相手役のヒロインも華奢きゃしゃな体つきの割には大胆な演技が良かった。なぜか会場からはこの二人に黄色い声を上げる女性たちが多かったが。


(続く)

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