(一)-4

 それに対して慌ててブリトーを口から離しながら、イヤラシい想像を、しかも目の前の翔太についての想像をしていたことを、少し恥じた。

「もちろん食べるよ」

 そう言って拓弥は翔太がそうしているのと同じように、ブリトーの表面を小さくかじった。

 中は牛肉と刻まれたキャベツなどがぎっしりと隙間なく詰まっていた。その中からしみ出たソースがじわっと出てきて、拓弥の唇の周りについた。

 拓弥の食べる動作をじっと見つめていた翔太は、「ソースがついているよ」と自分のトレーに置かれていた紙ナプキンをとって、拓弥の唇の周囲についたソースを拭った。


(続く)

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