第12話
その日の夜。あたしはベッドの中で悶えていた
「ああああああっっっ!!! 悔しい悔しい悔しいいいいいっっっ!!!」
バンバンと毛布を叩く。そしてクッションを抱きしめる。ホコリが飛ぶ? そんなの知ったことじゃないわよ!
「何であたしがあんな娘にキッ……あんなことされなきゃいけないのよぉぉ!!! 魔王なのよ? あたしは魔王なのよ!? あいつはただの人間なのよ!?」
あたしはただ、魔王として征服活動をしているだけなのに、”夢見の魔法”を使っただけなのに! それなのに、どこの子か知らない人間の女の子に惚れられて、魔王城に侵入されて、すごいこともされて……!!
「セレス……あたしのお嫁さん……キス……大好きって言われた……赤ちゃん……結婚……ううううっっっっ!!!」
目を閉じると、あの子……セレスのことを鮮明に思い出してしまう。
頭をかきむしると、あの子に撫でられたことを思い出す
ベッドから起き上がって、そのまま腰掛けると、ベッドに座らされてからしたキスのことを思い出す
なんなの……あの時の感情は。
ドキドキして、眠れないじゃない!
「また”夢見の魔法”を使えば、あの子に接触できるのかな……いやいや! あたしってば何バカなこと言ってんのよ!」
あの子は今、どうしているのかな。あたしのことを考えているのかな。
アンナちゃんなんてふざけた呼び方をして、可愛いって言ってくれたセレス。
「セレス……セレスぅ……!」
セレス、セレス、セレス……
心の中のモヤモヤを消すようにあの子の名前を布団の中で、クッションに顔をうずめながら漏らす
セレス、セレス、セレス……
「セレスの、バカ……」
あたしはそうつぶやいて、自分の夢の中に落ちた。
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