そうだ、尾張に行こう。再び!
坂本龍司
近江で将軍との謁見を終えた俺は、帰る途中尾張に寄った。上泉さんには先に帰ってもらってるので、本当に一人で尾張に来た。
清洲城の広間には信長さんと重鎮の皆さんがいた。
「前触れもなくいきなり来たと聞いて驚いたぞ、しかも一人で来るとはな」
「織田家当主になられたお祝いの品をお持ちしました。信長様は私を襲うような事は決して致しません」
「それは俺が天下人だからか?」
天下人と言われれば驕る人が多いはずなのに話のネタとして使うんだもんな、つくづく恐ろしい人だよ。
「用は祝いの品を届けるだけではあるまい?」
「はい、我が殿からはこれからの両家の関係を話してきて欲しいと」
「うむ、だが同盟を結ぶには時期尚早だな。まだ美濃も今川も取れておらん」
「今川は北条と挟撃すればよろしいかと、それに武田も今川を狙っているかもしれません。今川には北条と織田が誼を通じていると噂を流しておりますので、簡単には尾張に手を出さないでしょう。暫くは美濃に専念して下され」
「龍司は言葉を選ばんな、淡々とものを言いよる」
「信長様が回りくどい事を好まないのは承知しておりますれば。織田家の皆様も信長様の意思を汲み取れない場合は、何度でも聞いてみて下され。逃げようとしたらとっ捕まえてでも聞くべきです、信長様はその様な無礼を働いたとてお怒りになるお方ではありませんから」
重臣の皆さんは驚きつつも頷いてる。一方の信長さんは苦笑いを浮かべながら困った様子だ、でもこれは織田家が強くなるのに必要不可欠なことだ。
「今日は龍司に合わせたい者がいる、俺の妹で市と申す」
背筋が凍った。え、俺にお市ちゃんを嫁がせようとしてる?流石に年の差が・・・それにもう妻は充分なんだが。
「あぁ、嫁がせるのはお主では無い。氏政殿だ」
俺の顔を見て察したのか、信長さんが訂正してくれた。
「あら、私は龍司殿に嫁がれるのではなくて?」
「・・・・」
「ふははははっ!龍司よ、市は良くこういう戯言を言うのだ。慣れろ」
信長さんもお市ちゃんもニコニコしてる、しばらく尾張に来るのは控えよう。俺の心臓がもたない。
「婚姻の件は大殿にお知らせします。それでは私はこれにて・・・」
「待て待て、意外とせっかちな奴だな。今日は手練達をここに呼んでる、俺も含めて手合わせを頼みたい」
やられた!なんか屈強な人が多いと思ったら目的はそれか!!
「・・・畏まりました」
信長さんニヤニヤしやがって、それならこっちにも考えがあるぞ。徹底的に痛めつけてやる。
手合わせと言うか一対八の包囲戦になった。もちろん本気出した、もうボッコボコよ!スッキリした俺は北条へ帰った。
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あと2話続けて投稿します!
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