高等部で評定目当てにその他係を立候補してみたら、面が可愛いだけのゴリラの首輪になった件。安寧の学園生活も新年度にして終わりを迎えました。
ハナビシトモエ
第1話 学園の問題児
「前田さん! せめてスカートくらいはきなさい」
あれ、何かおかしいぞ。そう思った諸君はまだこちら側では無いので、早々にお家に帰ることをオススメする。
「先生も女の子だから分かるでしょう。風通しの悪いこのスカートでは暑くなった灼熱地獄はキツいわけ」
「なら、今エアコンの温度を」
前田はダンっと立ち上がった。
「そう先生、それよ!」
高校生のはずなのに、なぜか中学生の時のジャージ、前にクラスメイトが何で中学のジャージかと聞いた。
「バリエーションよ。やっぱそういうのは重要ってわけよ。明日はブラかな」
夏のある日、本当に上半身ブラにしようとしたが、大人の対応は早かった。
「今日は特別だ。クーラーの温度はこの部屋が一番低いぞ。アホな生徒が下着で授業を受けないようにな」
「先生、バリエーションが」
前田はいつもの調子でなぜか中学生の時のジャージで教壇に向かった。見事先生はきれいに新聞紙で作った(というのは後で知った)という棍棒を前田の額に振りかざした。
前田は教壇の前でしゃがみ込んだ。
「いったー。そんなんだから」
「そんなんだからとはどう意味だ?」
「なんでも無いです」
「反省文六回で停学だ。分かっているな? 今、何回だ?」
「一回です」
「しっかり励めよ。前田」
「はい心に刻み込みます」
次の科目で前田はちゃんと制服を着た。停学は怖いよな。分かる。
「というわけで」
みんな心中はまた始まったというところだろう。
「赤信号、みんなで歩けば怖くない」
「みんなひかれてみんな死ぬわよ」
委員長の一言で前田の意気は削がれた。
「とりあえずあの生徒指導のクソ野郎を」
「おう前田。その作戦に俺も混ぜてくれ」
教室の入り口には件の先ほど反省文で一悶着あった生徒指導の先生が立っていた。御仁は前田を視線で捉えていた。
「その中田さんが内緒の作戦をですね」
「中田、本当か?」
「知りません」
「だとさ。それでどうする。反省文と課題どちらがいい?」
「そんな無実の罪です。それをどうして裁くのですか?」
「何もしようとしていないと?」
「全く」
「ふーん、まぁいいか。中田、ちゃんと首根っこ掴んでおけよ」
「私は……」
はいともいいえとも言えない。
「そうだそうだ。こんな貧相な体の女は飼い主では無い。こう豊満でナイスバディの女の人が大好きで」
私はプラスチックのバットで前田の頭を捕らえた。
「ちょ、何よ。何すんのよ」
「貧相で悪かったわね。課題は一人でやりなさい」
「ごめんよ。もう事実は言わないから許しておくれ」
「事実?」
前田は強く抵抗した。クラスメイトが先生の前に引きずり出して、前田は教室から消えた。
確かに中学生でこの女の悪行を噂で聞いていたものの内申目当てでその他係にいかなければ良かった。ただの雑用だと思っていたのに後悔先に立たず。
その問題児に首輪をはめることになるとは私、
いわゆる、
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