何者にもなれなかった大人たちへ

（第10話までのまとめ）

◇あらすじ

　職と鈴木（すずき）太郎（たろう）を探していた落合（おちあい）良二（りょうじ）は、舟木中Ｂ組の担任『山田（やまだ）勉（つとむ）』の自宅アパート周辺を訪れる。

　そこに偶然鉢合わせたのは、落合が密かに恋心を寄せていた神成（かんなり）遥香（はるか）。内面が腐り果てていたことに一度は絶望するが、未練を晴らすべく落合は年収１２００万円になることを宣言した。

　また落合は真犯人が鈴木太郎ではないのではないかと疑う一方、菅平（すがだいら）雅之（まさゆき）は新たな同盟相手の大林（おおばやし）俊介（しゅんすけ）に、犯人は鈴木太郎であると刷り込んでいるが……？

◇登場人物

○落合（おちあい）良二（りょうじ）

　出席番号：７

　２５歳無職。神成遥香に恋心を抱いていた。

　鈴木太郎を追うべく山田勉のアパート近くを訪れたとき再会し、内面の変わり果てた彼女へ「１２００万円稼いだら交際してほしい」と申し出る。

　鈴木太郎は連続殺人事件の犯人ではないと考えているが、それはそれとして懸賞金は欲しいため跡を追うことを決めた。

　だが彼のアパートに、予期せぬ者が訪れ……？

○菅平（すがだいら）雅之（まさゆき）

　出席番号：１１

　２５歳アフィリエイター。落合を裏切り、大林と手を組もうとしている。

　しかし大林に対しても対等には思っておらず、利用しようとしているように見えるが……？

　また予想が好きな彼だが、なぜか「鈴木太郎こそが連続殺人事件の犯人だ」と断定している。

○神成（かんなり）遥香（はるか）

　出席番号：８

　落合の初恋相手。とても清廉で美しい容姿をしており、身なりも上品。

　中学の頃は基本的に誰とも隔てなく付き合える優しい性格だったが、今は若さや美貌を売りに金持ちの相手をして生計を立てている。

　もともと鈴木太郎のことは気味悪がっていたが、いまは金になるため逆に好きらしい。

○大林（おおばやし）俊介（しゅんすけ）

　出席番号：６

　元野球部スタメンで、Ｂ組では茂木と並んでカースト上位層だったチンピラ。

　しかし今は茂木とは異なり完全に落ちぶれ、イキり散らすだけしか能のない土木作業員として働いている。

　そのためか同窓会にも参加しておらず、今の交友関係は菅平と旧友１人だけらしい。

　身の回りに起こっている怪事件の犯人が鈴木太郎であると思いたがっているようだが……？

○鈴木（すずき）太郎（たろう）

　出席番号：１２

　先天的な知的障害を抱えており、突飛で奇天烈な行動ばかりしていたためクラスの全員から嫌われ、虐められていた。

　天誅という言葉を好んでおり、事件現場のメモにもその言葉が残されている。

　卒業してからは誰も行方を知らないらしい。

○山田（やまだ）勉（つとむ）

　生徒から人気のあった熱血教師。落合も彼のことは慕っていた。

　山田の刺殺を皮切りに、鈴木による連続殺人が始まる。