第2話 退役軍人が少女に出会う その2
私は走りながら、少女はこの辺りに似つかわしくない服を着ていた事、街の街に詳しくない事から何か面倒な事に巻き込まれてしまい、只働きになってしまうのではないかと不安を抱いていた。
走るのをやめ、「ところで名前を聞いてもいいですか?」と少女に話しかけた、少女は目の前の出来事に驚きながらも「アンバーです」とゆっくりと答えた。
アンバーは落ち着いたように一息ついた後、自分と一緒にいた犬の事を思い出し、「バレットを連れて行かないと!」と叫んだ。
その声を聞いて、「私が見たときにはすでにあの犬はもう死んでいたように見えましたが、流石にあそこに戻って犬を運ぶのはできませんよ」と私は言い聞かせるようにゆっくりと話した。
「違います。バレットは死んでいません。あの子は特別な犬なので。」アンバーはムッとして言い返した。
私はその言葉を聞き、大人しそうな子が大きな声で反論した事に驚き、もしかして気が動転しているのではないかと、考えていたとき、「グルルルル!」と獣の唸り声を聞き、咄嗟にアンバーの前に立ち刀を抜いた。
その際中にアンバーはその声の主を見て「バレット!」と声を上げ、走って駆け寄っていった。
その様子を見て、私は唖然としてしまいました。なんと、死んでいるように見えた犬が、見る限り怪我もなく、飼い主のアンバーに撫でられて気持ちよさそうにしていたからです。
私はアンバーに何と言って話しかけようか悩んでいたとき、『アンバーを守ってくれた事には礼を言うが、置いていってしまうのはあんまりじゃないか』とバレットから無機質な声が発せられた。
この声を聞いた後、私は不死身で人の言葉を話せる犬という謎が多い生き物を呆然と眺めていたようで、「スピードさん?」とアンバーが心配そうに声を掛けてきた。
「はい、なんでしょうか?」と反射的に返してしまったが、アンバーは次に私がさらに驚くような事を口にした。
「先程は危ない所を助けていただき、ありがとうございました。私達はやらなくてはいけない事があるのでこれで失礼します。」と言って、バレットと一緒に去ろうとしていた。
「ちょっと待って下さい。君達はこの街に慣れていない上に、また襲われでもしたらどうするのですか?次はバレットさんが死んでいる間に君が殺されるかもしれませんよ。君も見たでしょう、この街では、人が襲われる事や殺される事があってもそれに関心を持つ人なんてめったにいないんですよ。」
「ではどうすればいいんですか!私の知り合いはもういない!警察に相談してもなんの力にもなってくれなかった!こんな状況でどうすればいいの!父も母も死んでしまい、その仇を討つためにバレットと一緒にこの街にまで来たのに!」
アンバーは今までの不安と理不尽にさらされた為か、言い放った後しばらくは、肩で息をしていた。
「そう!それでは!もし何かをしたいのでしたら、私の所属している探偵事務所に依頼をしたらどうでしょうか?
荒事に関しても、私以外のメンバーも対応可能ですし、貴女の力になれるかもしれません。話を聞くだけならタダですし、よろしければ事務所までどうですか?」
私はアンバーに落ち着いてもらうためにもゆっくりと話しかけた。
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