退役軍人の大変な日々
@tama07
第1話 退役軍人が少女と出会う
街中の大きな喧騒のなか、少女と1匹の犬が一緒に逃げていた。
少女はこの街に似つかわしく無い、フリルなどの装飾がついた服を着ており、目元が隠れるほどで、絹を連想させるような長髪の持ち主で、犬の方はとても大きく、鋭い牙と黒い毛並みが特徴的だった。
少女は走ることに適していない服を着ていたせいか、息を乱し、犬はその少女の速度に合わせ、なおかつ守れるような位置に着きながら走っていた。道はだんだんと人通りが少なくなっていき、最後には行き止まりに着いてしまった。
追いかけていた2人の男の1人が苛立ちながら「やっと追いついたぞ!」と叫びながら、その少女の手を掴もうとした時、犬がその男の腕に噛みちぎった。もう1人の男は、仲間の悲鳴を聞きながら、怯えつつも銃を取り出し、犬に向けて撃った。
銃弾は犬に命中し、犬は苦しそうにもがいていたが、やがて動かなくなった、銃を撃った男は怯えているのか動かなくなった犬に対して、マガジンの中身が無くなり撃てなくなるまで引き金を引き続けていた。
少女は「バレット!」とその犬の名を叫び、動かなくなってしまった犬に駆け寄ろうとしていた。その様子を見て、銃を撃ち尽くしたあと放心していた男は、ある程度落ち着いたようで、少女を捕らえようと手を伸ばした。
その時、男にとってありえないことが起こった。「こんな街でも、犬を撃ち殺すのは良く無いことだと思いますよ」と突然現れたライダースーツを着て、刀を持った男が話しかけてきたのだ。
少女が突然現れた男を見て悲鳴をあげた時、銃を持った男は何故ここに突然、奇妙な男が現れたのかを必死で考えていた。
自分たちが少女を追い詰めた時、確かに人がいないことを確認していた。
この街では、子供のために危険を冒すような人はまずいないことを男はこの街で生きてきた経験から知っていた。
銃を持った男は、奇妙な状況に少女を捕まえるという使命を忘れて、ライダースーツの男に「お、お、お前はなんのために出てきた!」と慌てながら声を掛けた。
ライダースーツの男は「私は探偵事務所で働いているスピードというものです。まあ、探偵といっても実際は何でも屋のようなものですけど」とこの状況を把握していないのか、それとも把握した上での余裕なのか、のんびりと自己紹介した。
少女にも現状が理解できなかったが、覚悟を決めたのか、「助けてください!」とスピードと名乗る男に声を掛けた。
「いいですよ」と声が聞こえた時、スピードは消えていて少女を守るように前に現れていた。
「きゃ!」と少女が驚いていた間に、銃を持っている男は銃のリロードを終え、スピードに銃を向けながら「こんな所で、子供のために命を賭けるなんて頭がイカレてやがる!」と叫んだ。
次の瞬間、男は口から血を吐きながら、宙を舞っていた。男が立っていた場所には、スピードが刀の柄頭を男の顎の位置持って、立っていた。
少女は驚きながらスピードに「あ、貴方は今何をしたの?」と少女が問いかけた。「私は人より速く動くことができるだけですよ」と大したことがないかのように言った。
「それよりも、ここから速く離れましょう。人が来たら面倒なことになります」と少女を抱え上げた、「もし怪我をしてしまうようなことがあると大変ですので」とスピードは少女の体を固定したあと、走り出した。
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