ふしぎな家 航海

yasunariosamu

第1話 ハンティントンビーチ


「ここどこだろう。」

青い空、白い波。その割に乾いた空気。道ゆく外国人。日本人がいない。イベントかなにかかな。さっきまでいたところとは、明らかに違う空気。桜島がない。

「ゆきちゃん。こんなところでどうしたの。」

名前を呼ばれた。振り返ってみると、女の人が立っていた。明らかに日本人ぽい。この人は、ええぇと。そお。

「佐久間さん。」古い知り合いだ。

「佐久間さんこそ、ここで何してるんですか。」

「うん、私?私は仕事。」この人なんの仕事してたっけ。まあいいか。

「ここどこなんです。」

「ハンティントンビーチ。ゆきちゃんは、彼氏と旅行?」彼氏?

「いや、気がついたらここにいて。ちょっとわけわかんないんですよ。」

「何それ。ホテルどこ。」ホテル?

「そういえば、どこか泊まってましたね。そこからこの道に出てきたんですよ。でも、ホテルの名前が思い出せない。」困った。ほんとに思い出せない。

「なんだ、迷子なんだ。じゃあ、このホテルに行きなよ。私は、ここに泊まってるから。今日の予定は昼までだから、仕事終わったら一緒に探したげる。お腹空いてたらホテルでルームサービスでも頼んでよ。」そう言って、ホテルのカードをくれた。全部英語だから何を書いてるかわからない。


いや、根性出せば読める。

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