ＫＡＣ20241 「３分以内にやって早く帰ろう」冒険者ギルドを追い出された、弱気な…

第1話 「異世界デビューに失敗した冒険者なら、3分でやれ！」それができなかったから、本当のボスがやってきたんだろうな

　「異世界デビューに失敗し、冒険者ギルドから追放されていた冒険者」の男には、3分以内にやらなければならないことがあった。

　「冒険者ギルドに戻ってやり直せ、か…。3分以内に、まわりの皆に、身の潔白をアピールしろって？きついアドバイス、だよな…」

　うらまれた痛みを元に戻すのは、簡単なことじゃない。

　正直、逃げたくもなった。

　異世界から異世界に、転生しようと思ったこともある。

　「異世界に、いきたいよ」

　そんなとき、面白そうなニュースが入った。

　城の放送局が、ネットで新番組をはじめるという。

　「やり直しの秘密を、知りまSHOW！」

　それが、その、動画配信の番組だ。

　「やり直すがテーマの番組、か。面白そうだな…」

　そこで、また、びっくり！

　その番組の配信元というのか、舞台は、男を追放した冒険者ギルドに決まったのだ。

　こんな、奇遇な巡りあわせがあるか？

　「皆さん、こんにちは。今日からはじまりました、新番組。やり直しの秘密を、知りまSHOW！」

　取材が入った冒険者ギルドを経営するおばさんに、レポーターが、マイクを向ける。　

　「冒険者の世界も、きびしそうですよね？やり直したいことも、あったのでは？」

　聞かれたおばさんは、困った様子の顔で、答える。

　「…以前、困った冒険者が、うちのギルドに顔を出していましてね。危険なものを持ってきて、いやでしたね。やり直すのに、必死でしたよ…」

　危険なもの？

　伝説の剣とか？

　そこで、あの男がハッとなった。

　ギルドに向かって走る、男。

　「今からでも、遅くない！3分以内なら、やり直せるにちがいない！」

　冒険者ギルドに、押し入る。

　「あ、思い出した！」

　彼が冒険者ギルドを追放される前に男が貯めこんでいた、いやらしいビデオやDVDが見つかった。

　身の潔白を証明するためにに使う3分は、とっくにすぎていた。

　「見たなー！」

　ギルドのおばさんが、やってきて…。

　彼、ようやく、異世界にいけることになった。

　ただし、あの世という名の異世界。