オタクが好きというより、なにかに夢中になってるキミが好きだって言ってるんだよ

嬉野K

今日一日は、まだキミに夢中でいさせてね

しかし勘違いしてはいけない

第1話 キミと友達になってもいいかな?

「私にもあるのかな。大好きだって言えるもの。これが好きな気持ちだったら誰にも負けないっていうものと……いつか、出会えるのかな」


 放課後の教室でそう呟いた彼女の横顔。頬杖をついて夕日に照らされた彼女の顔は、とても僕の貧弱な語彙力では表せないほど美しかった。


 僕が一目惚れに近い感情を抱くには十分だった。


「よし……決めた」彼女は立ち上がって、「キミと友達になってもいいかな? キミから学びたいことがいっぱいあるんだ」


 ……


 どうしてこうなったんだろう。


 目の前にいる彼女は……クラスでトップ3に入るくらい人気の人だ。かわいくて元気で……彼女を狙っている男子はかなり多い。

 そんな美少女と会話するなんて、それだけでも恐れ多いというのに……なんと友達になる宣言までされてしまった。


 しかし勘違いしてはいけない。


 はるか昔から言われていることだ。


 僕に優しい人というのは僕以外にも優しい。それは彼女が優しい人間だということであって、僕に対する社交辞令という側面が強いのだろう。


 オタクに優しいギャルというのは、オタク以外にも優しい。


 そう。勘違いしてはいけない。彼女のことを好きになってはいけないのだ。そんなことをしても彼女を困らせるだけなのだ。


 決して勘違いしてはいけない。仮に好きになっても行動なんて起こしちゃいけない。


 肝に銘じておけ。


 僕が彼女を好きになることはあっても、彼女が僕を好きになることはないのだ。

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