ANARCHY
水野いつき
第1話
「その柵の向こうに立っていいのはあたしだけよ」
ビルの屋上に吹く強い風は女の声を流し、なけなしの未練を断ち切った。
劣化した鉄柵は錆び付き、めくれた塗装が手のひらを刺す。
強く握り込み、鉄棒の要領で飛び上がった瞬間、えりを掴まれ仰向けに引き倒された。
「馬鹿ね。早く起きなさい」
差し伸べられた手に触れたとき、すぐそこにいたはずの死が遠ざかっていくのを感じた。
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