第8話 クリスタ・ミュージック

...僕はクリスタ・ミュージック

....本名だよ

...僕は普段は歌手をしてる

ミュージカル...って分かるよね?

...そこで活動してる

歴は長いよ

子供の頃からだから

僕は今高校生

...何でこんな僕がVTuberになることになったのか...理由知りたい?

まぁ...君が嫌でも僕は勝手に話すよ

聞きたければ聞けばいい

僕の過去について











ミュージック家は世界でも有名な「声楽家」の家系なんだ

...簡単に言うと歌手のような感じかな?

オペラとかミュージカル系がメインだけど...

僕はそこの次男

兄がいるんだ...1人

姉もいる...1人

僕はミュージック家の末っ子として生まれてきた

...でも...僕は生まれない方が良かったのかもしれない

あんな事になるのなら




僕の家は生まれた時から声楽家の人生を歩む

だから、物心がつく頃には声楽の勉強を始めるんだ

拒否権なんてものはもちろんない

嫌だ、と言えば「恥さらし」

辛い、と言えば「弱虫」

辞めたい、と言えば「穀潰し」

言う事を聞かなければ、殴る蹴るは当たり前

それでも反抗すれば1週間外出禁止

押し入れ又は地下室に監禁

...最悪でしょ?人の所業じゃない

そういう家庭で育ってきたから

...だから兄はその影響を受けて...全くと言っていいほど別人になったんだ

幼い頃は僕と一緒にお稽古をズル休みして街に遊びに行ったり、一緒に森を探検しにも行った!

...でも今はそんな面影は一切ない

むしろ両親と一緒になって僕や姉さんを追い込んでいくんだ


姉さんは、家の中で1番まともだ

家事全般は完璧だし歌も、兄様より上手だ

そんな姉さんが僕は大好きだよ


ある日、姉さんが僕を庇ってくれたんだ

僕はその日、学校で少しトラブルに巻き込まれてしまって声楽のレッスンに遅れてしまったんだ

学校の先生も僕の事情を知ってくれてるから、全力で謝ってくれて、両親にも連絡をしてくれた

なのに...


僕が帰ってきた、その時

「遅くなって申し訳ありません!ただいま帰りました!!...!?!?姉さん!?!?」

姉さんは背中に見るに堪えない、大火傷を負っていた

父さんが煮え湯を...姉さんに浴びせたんだ

お前が遅れたせいで、姉さんが怪我をしたんだ

お前のせいだ

お前が悪いと

「父さん!僕が遅れたのは学校でトラブルがあったからで...連絡もあったはずです!」

「そんなものはわかっている!!...そもそもコイツが学校に通わせてあげて欲しい等とほざかなければよかったのだ!!」

外道だ

人間じゃない

...腐っている


...その後の記憶は無い

気づいた時には

手は真っ赤

鼻をつんざく鉄の匂い

目の前には

赤にまみれた父さん

僕の名を呼び泣き叫ぶ姉さん

呆然と、立ち尽くしている使用人

ただ、それだけだった




その後、僕は罪には問われなかった

精神がおかしくなってしまってした事だという理由で

だから、僕は心の療養の為

ここ東京に移り住んだ

もちろん、姉さんと一緒に

姉さんの火傷は治療により少しずつではあるけれど薄くなっていっている


正直、あの日何があったのか

全く覚えていないし思い出せない

でも聞いたところによると

父さんは生きているらしい

でも後遺症として目が悪くなったと聞いた

後悔はしていない

だって、仕方がないだろう

覚えていないのだから





僕は、姉さんに酷いことをした

ミュージック家を、一生許さない


僕は姉さんと暮らせればそれでいい

そう思っていたんだ



そんな時姉さんが、携帯でとある画面を見せてきた

「アイドルVTuberオーディション」

姉さんに

「私の事もいいけど、自由に生きていいのよ!」

と進められ、とりあえずオーディションに応募してみた

まぁ受からないだろう

そんな軽い気持ちで




合格した

まさかだった

僕が受かるなんて...

姉さんは嬉しそうだった

...姉さんが嬉しそうなのは久しぶりに見るな

もし、いつか僕がステージでライブをする時は

絶対、姉さんに見てもらいたいな




そしていつか必ず

父さん達ミュージック家を見返してやる

僕だけの力で


僕の全部が解決したら、その時には

みんなに話そうかな

姉さんにもQUARTETOのみんなを紹介したい


·····僕の自慢の仲間だって!






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