エピローグ:※デレデレというよりも、ロックオンされているようです。
◇
「——で? 澪がその話を聞いてるかぎり、『最後までつきあう』というのが最終層の攻略までなら」
骸骨戦車は倒したわけで——〈彗星の騎士団〉の今度の遊びにいく企画はグランピングになった。
さらさらの金髪と豹耳尻尾に割烹着を着て、料理担当の
「——もし、今のダンジョンを澪たちが攻略できなかったら」
※考えたくもない。
「次回からは別のところへ行って一層からやり直すことになるわ。彗星? ご利益があるように参拝しておきなさい」
「まだ終わってねえよ⁉︎ 何だよその賽銭箱——⁉︎ 『この神社へのお賽銭はサバンナの保護活動に使われます』って書いてるけど、神社ねえし⁉︎」
「最初とは状況が変わったよ彗星くん」
絶対君は勝てないよ——? と俺が詰みかけているからか、この所機嫌がいい墨華が横から言った。見ると、背中が開いた紅白のエプロン風キャミにショートパンツと、フリルのカチューシャを着けている。
——俺の能力は、ダンジョンの完全攻略報酬。ゲームのような見た目でもやってることは天災の処理。最終層を突破するような優秀な攻略者に、それではぜひぜひ次回も、と付与されるものなので……!
「あの……白いご飯もらっていいですかっ……?」
おまえ、次のコラボカフェの時のメニューそれな⁉︎ デザートの焼きバナナと一緒に白飯を食べようとする莉玖のことを(※何事もないように、隣にいた雛蜂がふりかけを添えてお盆を渡した)緋花が二度見したのと同時に、俺は——スマホで見ていたSNSにその時ちょうど通知が入って、真夏なのに空気が凍てついた気がした。
グランピングのテントの周囲がさっきから、近くで合宿か何かしてたっぽい小学生くらいの水着の女の子の集団に囲まれていることも気にならなかった。
それら全部の楽しい部分を引き換えにしても——
————
——
「これで八十七……八層目、かっ。もうちょっとだといいんだけど。最高でもあと十二層なら——」
——『私があなたの能力をとるまで、あと十二層だよ?』
咲から来たその通知を見て、怖すぎて一瞬本当に本気で思った——こんな能力取るべきじゃなかった、と(緋花が俺にしたのと同じことをするためとは思いたくないが今、咲は自力で正規に、俺の能力を入手しようとしていた)。
〈了〉
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