第4話 アンズの傷痕《メモリー》

「お前のせいで俺はいくつ古傷があると思ってんだ!!!!」


そう…いつもは服に隠れて見えないが。

アンズvs流月の戦いの傷跡メモリーが、アンズの身体中にいくつも刻まれているのだ。


「この傷は、おすそ分けで貰った俺の芋ようかんを、お前が横取りしようとして、イキナリ腕を引っ掻いてきた跡」


「この傷は、1日限定20個しか売られない、“幻のみたらし団子”をおやつに食おうとした時…お前が俺に向かって、銃を乱射してきて負った傷痕…」


どうやらアンズの傷のメモリーは、しょうもない事ばかりらしい。


「そしてこの傷は―――」

「あ~もぅいいメポ!! だんだん辛気臭くなってきた…」

「と・に・か・く!! お前と居ると、俺は命の危機なんだよッ!! わかってんのかメポ子!!!!」


流月は、溜め息を吐いた。


「…バッカみたい。 だいたい芋ようかんもみたらし団子も、さっさと食べれば良かったんだ!! それに、銃の乱射は、避けなかったアンズっちが悪いメポ!!」

「なッ…なんだと~!?!?」


…と、言う訳で。


アンズと流月は、出逢った時から超犬猿の仲。

しかも、流月はアンズがこの世界の人間ではない事も知っている、数少ない内の1人なのだ。

※アンズ曰く“(メポ子は)永遠のライバル”らしい…。


「…流月、今までずっと独りで旅していたのか?」

「そうなの…寂しかったメポ…黒兄ぃ…!!(グスッ)」

「なっ…!? 騙されちゃダメだ黒兄!!コイツの本性はなぁ…!!」


すると流月は、目をうるうるさせた。


「ひっく…久しぶりに再会したのにアンズっちはヒドいメポっ!! 優しい黒兄とは全然違うメポっ!!」


流月は、黒蝶の所へ駆け寄るとぎゅ~っと抱き付いた――。


「黒兄ぃぃ~…うわぁぁん…!!」

「流月…よしよし。俺達が居るからもう大丈夫だぞ」


黒蝶は、流月の頭を撫でた。

流月は嬉しそうにニッコリ微笑んだ……様に見せ掛けて―――。


「(アンズのば~か!!!! あっかんべぇ~♪)」

↑黒蝶は抱き付かれているので、見えて無い。

「ぐっ……!!!!」

「…アンズ、何怒っているんだ?お前さっきから変だぞ」

「だ・か・ら~ッッ!!!!」


全部ソイツのせいだぁぁぁ~ッ!!!!

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