第4話復讐の決意
「あのおっさんどうなったかな」
「どうでしょうか」
マスターはコップを拭きながら返事をする。
「何も無いといいけどね」
少女はレモンスカッシュを飲みながら言う。
「あの、私はどうすればよろしいでしょうか」
「そうですね、まずは情報を収集しましょう」
「情報ですか」
「そうだ、その前に自己紹介をしておきましょう、僕の名前は柿崎です」
サラリーマン風の男が言う。
「あ、私は菊池です」
「よろしくお願いします。それでは話を戻しますが」
「は、はい」
「女は捕まってまだ間もないですよね?」
「ええ、つい先日の出来事です」
「なら、これから地検にて検事との取調べがあるでしょう」
「はあ」
「殺人犯は単独での移送となるのでその時を狙いましょう」
「そ、それはどうやって」
「この爆弾を使うんですよ」
柿崎は懐から爆弾を取り出す。
「そんなものどうやって」
「自作です」
「あなたは一体何者なんですか」
「ただの社会人です」
「ただの社会人がなぜそこまで」
「私は5年前に人殺しをしています」
「えっ!!」
「復讐です」
男はあっさりと言う。
「・・・」
「どうしたんですか?怖くなりましたか?」
「いや、復讐はしたいのですが、爆弾だと被害が拡大するのではないでしょうか」
「あなたの復讐心はその程度ですか」
やれやれと男は立ち去ろうとする。
「ま、待ってください」
私は慌てて引き止める。
「どうしました?」
「私は息子の無念を晴らしたいです」
「ならば答えは決まっていますね」
男はにやりと笑う。
私は覚悟を決める。
そうだ最後にあそこの喫茶店に行こうか。
「あの実行はいつ?」
「そうですね、私の情報では明後日になります」
「なぜそんな情報を」
「秘密です。待ち合わせはここになります」
私は男から手紙を渡される。
「わかりました。必ず伺います」
「ええ。期待してますよ」
男はそう言うとそのまま歩いてどこかへ消えていく。
あの男は死神なのか・・・
私はその足で喫茶店へ戻る。
カランコロン
「いらっしゃいませ。おや?忘れ物ですか?」
マスターが話しかける。
「いえ。もう一度カフェオレを飲みたくて」
私は2人がけの席にどっかりと座る。
ふうと一息ため息をつくと目の前に少女が立っている。
「あんた、誰かに唆されただろ」
ドクンと私の心臓が鳴る音がした。
「何のことかな」
私は目を逸らす。
「覚悟を決めた目をしている」
「覚悟か・・・私は特に何も決まってないよ」
「お待たせしました、カフェオレです」
「ありがとうございます」
私はカフェオレを一気に飲み干す。
「お嬢さんが何を言っているかは知らないけれど」
私は足早に席を立つ。
「本当かな?あんた多分騙されてるよ」
「私は騙されてなどいない」
その言葉を最後に私は喫茶店を出る。
「何か感じましたか?」
「うん、目つきさっきと違った、あれはやるよ」
「やると言っても犯人はもう捕まっているでしょう」
「そうだよね。普通に考えたら捕まってる人間を殺すことなんてできないよね」
少女は自分に言い聞かせるように言葉を放つ。
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