第7話 まり 御魂の呟き その3 不機嫌な覚醒
目が微かに空いて光を感じる。でも、眠いの。起きるのさえ、億劫だと感じるぐらい眠いの。でも瞼の隙間から光が入ってくる。
ピッピッピッ、ピピッピピッ、シュー、シュコー、グュジュジュー
音も聞こえ出した。すごく耳障りなんだ。
誰か止めてくれないかな。
呼ぼうとするのだけれど口に何かを入れられて、声を出すことができないみたい。
なんで?
口に入っているものを取ろうとしたのだろうけれど、手が動かない。手どころか足も腰も動かせないの。
こんなことをするところは何処と思って顔を動かそうとしたけどなダメだった、ピクリとも動かない。動くのは瞼と目ぐらい。そうそう、
「うぅ、うぅ」
なんとか呻き声ぐらいは出るようね。全身、固定されていた。別に何もする気はないから、不満とかはなかったの。
ただそうしていると欲しいの、何をと言われるわからない、説明ができない。何処かが足りないとか、お腹が減っているとかともちがう。
強いて言えば喉が渇いたっていうの感じかな。イガイガしてなんか嫌なの。
兎に角欲しいのよ。最初のうちは良かったのだけれど、あまりになんで暴れた。
でも体が動かないように縛られたようで動かないの。
じゃあって、なんとかしてえ、って叫ぼうときても口に何か突っ込まれて話すことも、口が何かにふさがれて大声すらさ出すこともできない。
不貞腐れて、じっとしていたのだけれど、拉致が開かないんで寝ようかと思ったけど寝られない。
寝てくれないのこの体、。
何もすることなくて時間ばかり過ぎてしまうけど眠くならない。
寝てくれない。だるいだけ。何かが欲しいけど貰えない。
寝たくても寝られない焦燥感から声を出そうとしたけど出せない。
叫んで叫び声を上げようとするけど、喉が痛くなるぐらい震えるだけて、叫び声も上げられなかった。
あまりに何にもできなくて、しょうがない、あとは泣くしかないと思った。そうしたら泣けた。瞼だけは動かすことができたから、涙を思いっきり流してみる。
でもね、見てくれないの。見てくれないの。見ないの。私が泣いているんだよ。
にも関わらずわからないから、
知ってもらえない。仕方ない。枯れるまで涙を出しているしかできなかった。
しばらくしてってどれくらい時間が過ぎたのもわからないけど時間が過ぎても、寝た感じがしない。意識はだるいだけで体が寝てくれない。
時間だけ過ぎていく。渇望感だけが残っていく。どのくらい時間が経ったのだろう。
渇望感が薄れてきた頃、いきなり視界が開けた。
目の前のものが取り払われ、口を塞いでいたものも取り外された。体も少しだけど動けるようになった。
そうしたら、自分がどんなことされていたかわかったの。体で動かせる手や足や首や胴から腰に至るまで全てベルトに固定されていた。手指もミトンみたいな板状のもので挟まれて動かせたかったんだね。
おしっことかは何か突っ込まれて何とかできていたようで、恥ずかしいしか残らない。
食べてないから出るものもなくて、そちらの心配は無かった。
「怪我したんだから大人しく治していれば良いものを暴れるから、拘束した」
とか、
「禁断症状が出て、情緒不安定行動意味不明なことになっているから再度ベルトで雁字搦めにして動けなくした」
と聞かされたけど知ったこっちゃない。
もう、ここから出してと言ったら何で言ったと思う?
「何もすることは無くなったから出ててけ」
だよ。酷くない。
そして、困ったことに日頃の行いが悪過ぎて退院の迎えが来ないという。私と言うか、あなたは何やらかしたの?
(別に何もしてないしー、ヒーくんといっしよにいられれば良かったから、そうしただけなりー)
「こっ、こいつは」
(みんなひどいなり!私が泣いているのに、沢山かしづかれた私が涙を流しているのに、誰も気づいてくれないし慰てくれない。ヒーくんならどうしたの泣かないででって慰めてくれるのに)
「全く何言ってるやら」
(ママもパパも私やってることに怒るだけで良いよなんていってくれないし、あいつとは別れろ、離れろ、近づくな。としか言わないから、全部逆らってやったしー。ざまあなりぃ)
自分のことなのにおかしい事言ってうると思うでしょ、私だってそう思う。
実は私はこの女、茉琳に取り憑いたている茉莉といいます。
死んで昇天するはずが巻き込まて、なし崩し的にこの女に取り憑かされたの。
丁度同じ病院でたまたま良いタイミングだったと言うだけで。
捨てるから拾って使ってだって。いきなりで本人の承諾なしで憑依さてられているんだよ。
ちなみに私、茉莉の体は既に荼毘に付されて灰になってます。供養もされてないから、未だ御霊なんだね。どうなるんだろう。果ては浮遊霊かお化けが誰かの糧になるのか。
それともう一つ困ったことがあるんだ。実は…
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