第38話 妹と洗いっこする姉
〜姉視点〜
今、私はなぜか妹と一緒に浴室にいる。もちろん二人とも服なんて着ていない。一人でシャワーを浴びていたのにどうしてこうなった…?
「やはりお姉さまの体はとても綺麗ですね。」
私の背中を洗っていた美優が鏡に映った私の体を見ながら言う。
「ちょっと…恥ずかしいからそんなにジロジロ見ないでよ…。」
一度見られているとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。まぁ嬉しいって気持ちも無きにしも非ず。褒められたら誰だって嬉しいでしょ。
恥ずかしさと嬉しさから、膝の上に置かれた手がもじもじしてしまう。思わず口が緩んでしまったことに気づき、取り繕うのに必死になる。
てか私だけ見られるのもなんだか不公平だと思う。美優の体を見ないようにしてても目に入ってくるし、わざわざ目を背ける必要もないんじゃない?姉妹だからもう別にいいでしょ。知らんけど。
「そんなこと言ってる美優の体こそ綺麗じゃん。」
美優の体はシミひとつない色白な肌で、絹のようにきめ細やかだ。あと、どことは言わないがとても綺麗な形のものを持っている。
この前のお出かけでいくつかのスキンケアアイテムを買っていたが、それ以降はより肌の綺麗さに磨きが掛かった気がする。
「お姉さまのためにこの肌を保っていますからね。手を抜くつもりはありません。」
「どうしてそこで私の名前が出てくるのかは分からないけど、めちゃくちゃ努力してるのだけは分かるよ。そういう陰の努力が出来るところ尊敬する。」
私はそういう周りに見せない努力とかはあんまり得意じゃない。面倒くさいって気持ちが先行しちゃう。流石に最低限のことはやるけど、それだけで満足して終わる。
「ありがとうございます。嬉しいです。………さて、後ろは洗い終わりましたので、次は前を洗いますね。」
「どうしてそこに迷いがないの???やっていいか聞いたりしようよ。」
「なるほど。では、前も私が洗っていいですか?」
「いいや、流石に前は自分でやるよ。」
「ありがとうございます。私が洗いますね。」
「あれおかしいな。もしかして私の話通じてない?自分でできるよ?だから前に手を伸ばしてくるのやめよう??」
美優が私の胸やお腹に手を伸ばしてくるのを必死に止める。今までの人生でいっちばん集中力を発揮してる気がする。いくら可愛い妹だとは言っても、まだ触らせる気はない。……フェイント掛けてくるの止めてくれない??
「………ふぅ。残念ですが、仕方ありませんね。また今度にします。」
「なんで次も一緒に入る前提なの???」
美優の暴走がとどまるところを知らない。今日のこの子はどうしちゃったの?ブレーキが利かないどころか、ブレーキを壊してアクセル全開なんだが???
そんなこんなでわちゃわちゃしながらも私は体を洗い終わる。この時間で美優もクレンジングや洗顔を済ませたみたいだ。さて、次は私が美優を洗う番だ。
「じゃあ今度は美優が前に座って。髪洗ってあげるよ。」
「……よろしいのですか?」
「当たり前じゃん。私だけやってもらって美優は自分でやってなんて言うわけないでしょ。ほらほら座って座って。」
「…ありがとうございます。」
美優がしずしずと私の前に座った。私は手に適量のシャンプーをとり、少々長めの美優の髪を洗っていく。
洗っていて思ったが、美優の髪がサラサラなのは髪の一本一本が私のより細いからかもしれない。
「お客様~力加減は問題ありませんか~。」
「…はい、大丈夫です。気持ち良くてずっとやっていて欲しいくらいです。次もこのくらいの力加減でお願いします。」
「それはよかったで~す。それと次回はありませんのでよろしくおねがいしま~す。」
隙あらば次も一緒に入ろうとするのなんなの???
美優の髪が洗い終わり、次は背中を洗う。ボディソープがつかないようにするため、髪を肩から前に垂らしてもらったが、それによって見えるようになったうなじがどうにも色っぽい。特に変な場所って訳でもないのにそう思っちゃうのはなんでだろうね。
ゆっくりと丁寧に美優の背中を洗っていく。
「……んっ……ふぅ…。」
「………。」
「……んんっ……ふっ……はぁ…。」
「………。」
「…んぅ……あっ…そこ―――。」
「いちいち変な声ださないでくれるかなぁ!?」
私は普通に美優の背中を洗っているだけなんだが???まるでいかがわしい事でもやっているかのような声ださないでよ。
「ふふっ、ごめんなさい。ちょっとふざけすぎました。でも気持ちいいのは事実ですよ?」
「だからってドキドキしちゃうから止めてよ…もう…。」
まぁ美優がふざけられるくらい私に心を許したってことで、今回だけは見逃してあげよう。私は寛大な心の持ち主だからね。
「……さて、二人とも洗い終わったわけだし、私は先に出るよ。美優はゆっくりしてから出てきな。」
流石に二人でお風呂に入りはしない。そもそも大学生二人が背中合わせでお風呂に入るスペースなんてない。それなら私はさっさと出てしまい、美優にゆっくりとお風呂に浸かってもらおう。私もお風呂でゆっくりしたかったけど、お姉ちゃんなんだしこういうときは譲らないとね。
そう思って浴室から出ようとするが、間髪を入れずに腕をつかまれてしまう。
「何を言っているんですか?二人で入るに決まってるじゃないですか。」
「いやいやいや、美優さんは何をいってるんですかね。子供ならまだしも、成人近い二人が一緒にはいっちゃダメでしょ。そもそも二人も入るスペース無いじゃん。」
「私達は姉妹ですし、一緒に入るくらい大丈夫ですよ。それに、重なるように入れば二人で入れます。ってことで入りましょう。」
「わわっ…!」
美優が腕を組み、逃げられないようにしてきた。逃げようとしても全然逃げられない。てか力強すぎね??ビクともしないんだが??この華奢な腕のどこにそんな力があるのさ。いや私の力が無さ過ぎるだけか?
「逃げようとしないでくださいね?絶対に逃がさないので、もう諦めてください。」
美優が魅惑的な笑みを浮かべながら顔を覗き込んでくる。
どうやら美優が浴室に入ってきた時点で、私は逃げられない運命だったらしい。
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