第19話 疲れた姉と寄せる妹
~姉視点~
今は大学からの帰り道、美優と一緒に駅のホームで電車を待っている最中だ。もちろん手は繋いでいる。姉妹だもの。
「いやぁ久しぶりの大学はやっぱつかれたなぁ…。」
本当に疲れた。今すぐ座りたい。席空いてるといいな。
「お疲れ様です。今日は帰ったらすぐにご飯らしいですよ。」
「おっ、やった~。おなかぺこぺこ。」
………くぅ。
ご飯のことを想像したからか、お腹の音が鳴ってしまう。めっちゃ恥ずかしい。
「ふふっ、そうですね。私もお腹が空きました。」
美優の微笑みが私の恥ずかしさを加速させる。止めて!!そんな微笑ましい顔でこっちを見ないで!!
その時、都合よくアナウンスが入る。良かった、これで誤魔化せる。
「ほ、ほら、もうすぐ電車来るからこっち見てないで前向いて。危ないでしょ?」
「ふふっ、分かりました。可愛らしい音のことを忘れて前を向いておきます。」
むぅ…、くやしい。美優にからかわれてる…。お姉ちゃんの威厳が…。私は完璧なお姉ちゃんのはずなのに!!!
電車が到着したので乗車する。都合よく二人分の席が空いていた。
「ふぅ…。座れてよかった。」
今日は疲れてたから座れて本当に良かった。
…はぁ~、それにしてもちーちゃんのほっぺたすべすべだったなぁ。萌ちゃんのほっぺたももちもちで良かった。…美優のは……なんというか、恥ずかしくて触れなかった。
てか猛烈に眠い。やっぱり体力めっちゃ落ちてるなぁ。数か月病院生活だったし、しょうがないか。
「ふわぁ…。」
思わずあくびが出てしまう。美優に見られていて恥ずかしい。………今日恥ずかしい事いっぱいあったな。
「お姉さま、眠いのですか?」
「うん…ねむい……。」
まぶたが重い。
「後で起こすので、寝てしまって大丈夫ですよ?」
「ん~、じゃあおねがい…。」
げんかい。むり。ねる。
「はい。おやすみなさいお姉さま。」
―――――
~妹視点~
お姉さまは寝てしまった。
「ふふっ可愛い。」
お姉さまの寝顔はとても可愛い。もちろん普段から可愛いが。
「大学お疲れさまでした。」
やはり久々の大学は精神的にも肉体的にも非常に疲れるのだろう。
私達のために同好会の集会も開いてくれた。感謝しかない。お陰で千咲さんと知り合うことができた。
「もうすこし自分のことも大切にして欲しいのですが…。」
お姉さまは私のことを可愛がってくれている。出会った当初からそうだった。ただ、それに感謝こそすれ慣れてはいけないだろう。しっかり恩返ししなくてはいけない。
「うぅん…。」
お姉さまが頭を揺らしている。そっと頭を私の肩に寄せる。
「ん~…みゆちかいぃ…」
寝言のようだ。どうやら夢の中でも私はお姉さまに迫っているらしい。
「ふふっ、姉妹なら普通ですよお姉さま。」
私は小声でささやく。
「そぅなの…。」
「はい、そうですよ。」
降りるまでまだ時間はある。そのまま夢の中の私と楽しんでもらおう。
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