第17話 同好会に顔を出す姉

~姉視点~


 美優と萌ちゃんを連れて、同好会の部室に向かう。久しぶりに顔を出すからなんだか緊張するな。みんな元気かな。


「ど~も~お久しぶりで~す。」


 部室へ入ると、畳の上の机を囲んで座っている皆が目に入る。どうやら4つの長机をくっつけて1つの大きな机にしているらしい。


「やあやあ陽菜クン、久しぶり!大丈夫だった?」


 快く迎えてくれたツンツン頭のムキムキな男性はここの部長である。見た目通り筋トレが好きで、家では筋トレしながら読書していたりするらしい。正直引く。


 部室でそれをやらなくて本当に良かった。絶対においこもるもん。臭いのは嫌。


「はい、無事に戻ってこれました。ご心配おかけしました。」


「それは良かった!…それで、後ろの二人が入部希望者だね?」


 そう言いながら部長は二人に顔を向ける。


「初めまして。お姉さまの妹の小倉美優です。よろしくお願いします。」


「うちは工藤萌です!!よろしくお願いします!!」


「うんうん、ヨロシク!じゃあそこで靴脱いで、イイ感じのところに座って。軽く歓迎会でもしようか。」


 そう言われた私達は部屋の奥へ進み、空いていた場所へ座る。




 ………?美優近くない?肩が触れてる、というかくっ付いてるんだけど…。


「ね、ねぇ美優。お姉ちゃん、流石に近いんじゃないかな~って思うんだけど…。ほら、肩とかくっ付いてるし…。」


「そうですか?これくらいの距離が普通ですよ。私達姉妹ですし。」


「ほ、ほんとぉ〜???」


 これは信じていいのか?もう5月だよ?くっ付いてると暑くない??あと美優の良い匂いがして困る。


 それに、なんか部長を除く他のメンバー全員が、何かに気づいたって顔してこっちを見てくる。萌ちゃんまでこっちを見てる。なんだか恥ずかしい。


「それじゃあ各々自己紹介を始めていこうか!改めてオレは部長の―――」


 なんで部長は気にしないの?この流れで始めるってまじ?


 結局各々の自己紹介が始まってしまい、美優との距離はこのままになってしまった。



―――――


「やっぱ近いと思うんですよ美優さんや。」


 というか他のメンバーとも話したら?歓迎会だよこれ?皆も皆でなんでこっちを見て終始頷いてるの???


 …頷きが歓迎ってこと?んな馬鹿な。


「まだ気にしてるんですか?別におかしく無いですよ?」


「そうですよお姉さん!!別にいいじゃないですか!!あとうちも隣に行っていいですか?」


 ついに萌ちゃんにまで大丈夫と言われてしまった。私が気にし過ぎなのかなぁ。


「それはダメです。」


「なんで美優が断るの!?」


「う~ん…。」


 結局萌ちゃんは美優と反対側に座るし、私を挟んで二人は話し始めてしまった。どうして私を挟む必要があるの…。




「やぁやぁやぁキミたち!オレともお話ブベラッ!」


 急に部長が来て話しかけられたと思ったら、他のメンバーに殴られて引きずられていった。


 …いや、部長の対応間違えてなくない!?どうして殴られる必要が!?


 連行されていった先で正座させられた部長は、ユリがどうだの間に挟まる男はどうだのと説教されている。若干涙目になっていて可愛そう。何も間違えてないのに…。


 というかユリ?どうしてここでユリの花がでてくるんだ?どっかに飾ってあったっけ?




「…お姉さま。私ここの人たちのことをとても気に入りました。」


「まだ何も話してないよね!?」


 なんで!?ずっとここにいて何も話して無いじゃん!?どこに気に入る要素があったの!?!?!?


 メンバーが美優を見てサムズアップしている。美優もそれに対して頷きを返す。


 なんでこれで分かり合えてるの!?お姉ちゃんもう何も分からないよ…。




 結局この歓迎会で美優が離れることは無かった。

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