Story's rewrite - with a happy ending -
たっきゅん
改変者
第1話 〝───〟 【 】
世界の端、断崖絶壁に腰掛けたオレは日記を開く。そこには〝誰か〟の過去の出来事を文字として記録されている。埋め尽くされたページを捲れど捲れど日常が続いていた。
「───こんな遠くまで来ていたのね」
振り返ると姉さんがいた。オレは日記を閉じて地面を叩き、隣に座るように促した。
「よいしょっと。〝───〟の物語は今、分岐点を越えたけど、この先はハッピーエンド?」
「もちろん。願ったんなら叶えようよって、そう言ったのは姉さんだろ」
ふわりと宙へと浮かび一回転してオレの隣に姉さんが座ったようだ。スカートが後から降りてきたせいで見えたスラリと伸びた綺麗な素足が目に毒でオレはバレないようにすぐさま絶壁の下を見つめた。
「そうなんだけどさ。⋯⋯で、〝───〟のこの先の物語は私には読ませてくれないの?」
オレは無言で頷き日記を渡す。それを見た姉さんは苦笑した。
「まあ、こんな何もない世界だったからね。幸せの形はこうなるか〜」
「思い返せば悪くない物語だったよ。あの家で平穏な日常を過ごすだけだったけど」
オレは〝───〟として過ごした物語を振り返り、何もない地平線の向こうにあるはずの暮らしていた家に思いを馳せ、これから同じ物語を紡ぐ可能性のある〝───〟のこれからの幸せを祈った。
『キミの願いは果たされた。これからは穏やかな日々が続くだろう。⋯⋯だが、もしキミが刺激を求めるのなら、違う
〝誰か〟の物語を書き換えて、その先の物語を紡ぐのがオレたち改変者だ。それはあり得る可能性であり、まだ確定されていない未来でもある。
「夢に伝言を残してきた。まあ、姉さんの受け売りだけど」
「いいと思うよ。だってこの〝───〟って外の世界に憧れてたんでしょ」
「だね。日常が平穏過ぎてきっと改変者になると思う」
オレたちの体が透けていく。〝───〟としての物語が終わり、物語の〝現実〟へと反映されていくがこれはいわば幸せな結末への台本だ。物語を紡ぐのは〝───〟自身で、アドリブ次第でいくらでも結末は変わる。それでもオレは自身が望む幸せな結末に改変出来たことに満足していた。
「あ、今回はイタル一人で改変してたら忘れてた! ほら、アレ出して」
「はい。破いたページは先に【封印】しておいたよ」
真っ黒になっていて破いたページは、二つ折りにし、封筒へと入れて鑞付けをすることで【封印】しておいた。
「ありがとう! このまま後で
姉さんは指先で魔術式を書いて使い魔の鳩を呼び出し、封筒を鳩に掛けられている鞄に入れて送り出した。
「それじゃあリラ姉さん、おやすみ」
「おやすみ、イタル」
こうして
「やっぱりオレは姉さんと
〝───〟の物語は
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