二つの世界

あおい

第1話 いつも通りの僕の日常

夢を見る。それ自体は当たり前のこと。誰もが眠ると夢を見ている。起きた時には覚えていなかったり、すぐ忘れてしまったり。だから気にとめる人はいないだろう。そして夢はコントロールすることができない。どんなに楽しくてもどんなに理不尽でも自分の意思で変えることができない。

それならば、

自分は眠っているはずなのにまるで現実のように自分の意思で動くことが出来る世界がもうひとつあればそれは夢と言えるのだろうか、いや、どちらが夢の世界なのか判断することができるのだろうか。


教室の窓側1番後ろの席。これが僕のいつもの席。窓を少し開けてカーテンが靡くのを感じながらそっと目をつぶる。周りのガヤガヤした音が耳に入ってくる。くだらないことをしているなーと思いながらも耳が音を拾ってしまう。部活のこと、帰りに寄りたいお店、ゲームの話、色んな声がする。

目をつぶりながら声が一つ一つ遠くなるのを待った。話し声や足音が聞こえなくなりそっと目を開ける。カーテンの合間から見える外の景色。この切り取られた景色が好きだった。中庭の自然が見えるこの場所。1本だけある低い紅葉の木が紅く色づいている。その足元の小さな池に赤が点々と浮かんでいる。同じようでも、毎日少しずつ変わっていくこの景色をただぼーっと眺めていたかった。


瞼がだんだん重くなり視界が徐々に輪郭を失う。流れに身を任せ眠りについた。

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