第16話 王都でのデート
ぼくとミレイユさんは休日に王都でデートをしていた。
ミレイユさんと手を繋いでみたら温かかった。
「ツカサって体温低いのかな?手冷たい・・。」
「あ、ごめん・・嫌だった?」
「そんなことない。私で良ければ暖まればいい。」
葉っぱの上を歩くとカサカサ音がした。
「最近寒くなったからね。それでかな?」
ミレイユさんがぼくの手を自分の頬に当てる。
「温かいかな?少しは。」
「うん。とても温かい。」
「折角だから、前言っていたお店行ってみない?」
「ん?私何か言ってたっけ?」
ミレイユさんは首を傾げた。
以前馬車に乗せてもらった商人が経営しているお店である。
キュルテさんのお店。
大通りの中心街にあった。
建物の外見からして高級そうな雰囲気が漂う。
シックな色合いで貴族御用達というお店だ。
「あ~そういえば言ってた・・まさかこんな高級店だなんて・・。」
ミレイユさんはちょっと
「まあ、見るだけだし大丈夫でしょ。」
ぼくはミレイユさんを連れて入口まで来た。
丁度その時キュルテさんが、ドアを開けて出てくるところだったようだ。
「ようこそ、どうぞお入りください。」
キュルテさんに手招きされ店内に入る。
中に入ると外の
外と店内は別空間のようだった。
お金かけてるな。
質の良いドレスに、宝石、帽子などがあった。
値段は・・うん貴族用だねこれ。
ミレイユさんはおそるおそる見ている感じだった。
「良かったら試着してみませんか?」
「え?」
「着てみたら?試着だし。」
「・・うん。わかった。」
奥の部屋に連れられて着替えてくるようだ。
「早速来ていただいてありがとうございます。」
キュルテさんは営業スマイルでニコニコしている。
「ミレイユさんが来たがっていたからね。気に入ったら買うよ。」
ミレイユさんが出てきた。
試着したのはドレスではなく、ワンピースなのだがそれでもお値段はめっちゃ高い。
色は地味な茶色だが、ミレイユさんが着ると上品な雰囲気だ。
「とてもお似合いですよ。」
女性店員さんが褒めてくれる。
「凄く似合ってるよ。」
思わず見惚れてしまう。
「普段着用にどうですか?お値段もお手頃ですし。」
他の商品に比べたら安いけど、まあ高い。
買えなくはないけどね。
折角なので、いくつかの商品を見て楽しんだ。
ぼくたちはキュルテさんのお店を出た。
少し歩いたところにメイドに教えてもらったお洒落なカフェがある。
カフェにぼくたちは入る。
そこは軽食を出すお店のようだった。
ミレイユさんは初めて来たようで興味津々みたいだ。
「これが食事?少なくないか?」
サンドイッチを目の前にして、ミレイユさんが言う。
お皿の上に綺麗に並べられているサンドイッチ。
斜めに切ってあって、申し訳なさそうな程度にサラダが付いていた。
確かにぼくにも少ないかも。
「ここではこれが普通なんじゃないかな。多分。」
「これじゃ、お腹空いて倒れると思う。」
「違う所で食べようか?」
結局、手ごろな大衆食堂へ行って食事をし直すことに。
安いから味はあまり期待していなかったが、意外と美味しかったので驚いた。
ミレイユさんは沢山食べないと体力が持たなかったのかもしれない。
シンプルに肉を焼いて塩コショウで味付けしてある。
ステーキ肉などの豪快な料理だ。
「やっとお腹が落ち着いた・・こういう場所が落ち着くんだよな。」
ガヤガヤと騒がしい店内。
酒と煙草の匂いが充満して、ぼくはちょっと苦手だ。
「私のためにすまないな。慣れないだろこういう場所。もうちょっと大人になってからの方が良かったか。」
大人・・か。
ミレイユさんにとって、ぼくは弟みたいな感じなのかもしれないな。
きっとこれが本心なのだろう。
高く舞い上がった気持ちが、急に落下した気がした。
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