【短編】勇者PTを追放された荷物持ちの俺、家に帰って元大賢者のお母さんに事情を話したら「お母さんが話つけたるわ」と勇者パーティーに【カチコミ】に行きました。え? 息子の俺はただの荷物持ちですよ?
岡崎 剛柔(おかざき・ごうじゅう)
第一話 荷物持ち、勇者パーティーから追放される
「グレン、お前はクビだ! この勇者パーティーから出て行け!」
冒険者ギルドの中に勇者――アレスさんの声が響き渡る。
一方、俺はアレスさんからの追放宣言に驚いてしまった。
どうして俺がいきなり勇者パーティーをクビになるんだ?
と思った俺は慌ててアレスさんに
「待ってください。いきなりクビなんてひどすぎます。それに今すぐ出て行けって……」
そうだ、いくら勇者とはいえひどすぎる。
俺は今までパーティーの荷物持ちとして頑張ってきたんだ。
それなのに突然のクビから追放なんてダブル・コンボは鬼の
ああ、考えたら腹が立ってきた。
とりあえず、顔だけは必死な弱者を演じて心の中で勇者を
「くそっ、ウゼえな。たまたま上級モンスターを狩れてSランクの冒険者になったくせに。そんで、たまたま功績が認められて国王から勇者に指名されたくせに。前から思ってたけど、お前ら全員クズだぞ。勇者パーティーに認定されたからって毎日毎日ハメを外しやがって。特に勇者、てめえだよ。毎晩毎晩、気が狂ったように
次の瞬間、アレスさんは腰の剣を抜きながら立ち上がった。
「な、何だと! てめえ、もういっぺん言ってみろ!」
そして両目を血走らせながら、剣の切っ先を俺に向けてくる。
あ……まずい、これって心の声が口から出ていたパターン?
「この無能の荷物持ち! あなた、誰に向かって言っているのか分かってんの!」
次に俺を怒鳴り散らしたのは僧侶のコレットさんだ。
ちなみに勇者のアレスさんと寝んごろな関係なのは俺も知っていた。
「コレットの言う通りだ! 俺たち勇者パーティーに何の恩恵も与えなかったクズのくせに、あろうことかリーダーであるアレスの悪口を言うとは……無能とはまさに貴様のためにある言葉だ!」
なんて怒声を浴びせてきたのは、全身鎧を着た重剣士のバトーさんだ。
確か年齢はアレスさんと同じ20歳だったかな?
そんで中肉中背のアレスさんと違って、正直なところバトーさんは
そんなバトーさんは剣士とタンクの役割を兼ねたパーティーの
ちなみにバトーさんもアレスさんと夜の関係を持っている。
こればかりはマジで知りたくはなかったけどね。
どっちが攻めでどっちが受けなんだよ……ってたまに考えてしまう。
まあ、それはさておき。
俺の不注意で場の
周囲にいた冒険者たちも、ハラハラしながら俺たちの様子をチラ見している。
「もう我慢ならねえ! おい、グレン! さっさとこの場から出て行け! それとも俺に叩き斬られたいか!」
いや、まずはクビの理由を説明しろよ。
いきなりクビです、はい追放です、はさすがに通らないだろうが。
「アレスさん、俺をクビにする理由を教えて下さい。でないと納得できません」
仕方なしに俺は下手に出て
「そんなもん、決まってるだろ。てめえが荷物持ちとしての働きが出来なかったからだよ。それに俺たちは晴れて国から認められた勇者パーティーになったんだ。もうてめえみたいな無能をパーティーに入れておくにはいかねえんだよ」
そんな
「――とにかく、グレン・スコフィールド。てめえは今日限り、俺たち勇者パーティーの【
俺はやれやれと
「相変わらずクソ長いパーティー名だな。それに
「だから、ずっと心の声がだだ
アレスさんはいきなり剣を水平に
「うわっッ!」
俺は後方に
しかし、
「失せろ、この無能が! 二度と俺たちの前に姿を現すな!」
何て
パーティーの荷物持ち兼雑用として今まで頑張ってきた俺を、寄ってたかってこんな
いよいよ
「退職金は出るんですよね!」
「失せろ!」
そして荷物持ちの俺――グレン・スコフィールドは勇者パーティーを追放され、お母さんが待つ
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【あとがき】
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