第6話
後日
「(ああ、桜井さん可愛いなあ。これだけ周りから言われてるのになんで私のものにならないんだろうか?やっぱり彼氏がいるんだろうか?それより今日のお弁当が気になるな...。)」
昼休み
「はい、早川さん、お弁当!」
と桜井が笑顔で持ってきた。
「ありがとうございます!桜井さん!今日は何かな?お!ハンバーグカレー!凄い!」
「温めてから食べてくださいね。」
「わかりました。いただきます!」
早川は自分の席に着き弁当を食べながら
「(付き合うのは待って欲しいって言ってたけど、本心はどうなんだろ?彼氏がいたら元も子もないよな。でも俺とは肉体関係あったしな...。あ、桜井さんが席を離れた。どこに行くんだろ?)」
「先輩!ちょっと調子が悪いので午後から有給とります!」
「ええ?お前どうしたの?何か悪いものでも食ったの?」
「それはありません!滅相もない!ただちょっと体調不良です。」
それから早川は桜井を走って追って行った。するとやはりと言ったところか水島商店街であった。そのコインパーキングに止める桜井を見て、後をつけて行った。すると潰れたキャバクラの裏辺りのコーポに入って行った。
「やっぱり男なのだろうか...。気になる。出てくるまで待っていよう。」
そして小一時間待った。
すると桜井が出てきた。そしてすかさず早川が
「桜井さん、あの部屋で何をしてたんですか?就業中ですよ?」
「わっ!早川さん!」
「あの部屋には誰がいるんですか?」
一層近寄って問い詰める早川
「あの部屋には前科を持っていて社会復帰しようとする人がいるんです。その人の面倒を私が見てるんです。」
それを聞くと早川が
「そんなの保護観察官に任せればいいじゃないですか!」
「それはそうなんですけど...。」
「そいつが好きなんですね?以前あなたを抱いた夜に私とお付き合いができない理由も。」
「はい...。」
「クッ!」
誰にもどこにも怒りと悲しみのやりばもなくただ自分の中にしか抑え込めない早川だった。だが、自分の中で留めておけるのもまた紳士である。
「せめてもの救いで私にはチャンスはありませんか?」
と早川が食い下がる。
「あなたが私にあの方を忘れさせてくれるなら...。」
「!?それはつまり?」
「抱いてください。」
早川は驚いた。早川の中で桜井は淑女であったからだ。先日、桜井を抱いたが、一晩のことだけだと思っていたからだ。
「つまり私は彼のディルドってわけですか?」
と早川は声を震わせた。
「そうじゃありません。彼を忘れるにはそれが一番早いはずです。男女の仲ってそんなものじゃないですか?」
と桜井がトーンを低めに言った。
「た、確かにそうですが...。そんなに軽々しく体を任せていいんですか?」
と早川が言うと
「早川さんは私に彼を忘れさせてはくれないんですか?」
と詰め寄った。すると早川も腹を据えて
「わかりました。その話、受けます。」
「では次の休みの日を教えてください。その前日の夜にでもお会いしましょう。」
「わかりました。」
そういって、二人はその場を後にした。
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