道場訓 八十一 魔神流の空手
その
かつてヤマト国には
そしてこの2人の
魔法というとリザイアル王国のような
だが祖父の話によれば、ヤマト国や
それは魔法に比べて
まあ、それはさておき。
カムイの言葉ではないが、俺もまさかこんな場所で
しかも、こいつが
俺の聞き間違いでなければ、マコトは確かにそう口にしたはずだ。
つまり、このカムイを倒せれば
俺はカムイと間合いを保ちながら、再び自流の構えを取った。
もしかすると、本選の決勝戦で当たったかもしれない相手だ。
それはそれで構わないのだが、ここが本選会場ではないということが良い。
なぜなら、ここで闘う分には実際にエミリアの命を賭けなくてもいいのだ。
俺は裏社会の人間の本質というものは少なからず分かっている。
特に
となると、部外者である俺が
十中八九、優勝を阻止するべく妨害をしてくる可能性が高い。
それならまだマシだったが、その
などと思っていると、カムイは「おもろいな」と首を左右に振って骨を鳴らす。
「最近の
そう言うなり、カムイの全身から凄まじい
ビリビリと部屋全体が揺れている感じが伝わってくる。
本人は否定していたが、空手着を着た大魔法使いという表現もあながち間違いではない。
なぜなら、
「大将、死んでもしらんで」
カムイの挑発に俺はニヤリと返す。
「それはこっちの台詞だ」
と、俺もカムイに負けじと
そのとき――。
「お止めなさい!」
「ここは
声を発したのはマコトだ。
「特にカムイ、あなたはもう少し
数秒後、カムイの全身から放たれていた
「お嬢はんが言うのなら仕方ないな。せやったら、大将との勝負はちゃんとした会場でやろうか。この場所で闘ったらこっちはお嬢はんが、そっちはエミリアちゃんに被害が出るかもしれんからな」
俺はカムイの
そうだ、その通りだ。
エミリアのためだと思いながら、こんな場所で
俺は構えを解いて深呼吸をする。
予期せぬ使い手の出現で、いつもの悪い
こんなことじゃ駄目だな。
それに俺たちが
キキョウさえ無事に救出することができたなら、
「エミリア、もう行こう」
俺は振り返り、エミリアに声をかける。
こんな場所にいては、またいつ俺の悪い
だったら、さっさとこんな場所からは退散するに限る。
「待って、まだ私の話が終わってないわよ」
俺はマコトの話になど聞く耳を持たなかった。
「まあ、待ってや大将」
しかし、俺と同等の力を有しているだろうカムイの言葉は別だ。
俺は顔だけを振り返らせると、カムイは俺からマコトへと視線を移した。
「お嬢はん、こういう男には女がナンボ言っても無駄でっせ。特に
「じゃあ、どうすればいいのよ?」
「決まってるやないですか」
カムイは再び俺の方へと顔を向けた。
「大将、俺と1つ賭けをせんか?」
「賭け?」
俺は頭上に疑問符を浮かべた。
「そうや、賭けや。せやけど、どっちが優勝するかやないで。俺と大将、どっちが闘って勝つかや」
「お前が俺と当たる前に負ける可能性は?」
「ありえんな。それに、今回の闇試合の決勝は俺と大将でほぼ決まりや……そうでっしゃろ? お嬢はん」
そんな都合の良いことがあるわけがない。
と、思うほど俺も馬鹿じゃない。
なるほど、マコトは
それにわざと負けろと言ってるわけではないのだ。
おそらく、マコトの権力ならば俺とカムイが決勝戦で当たるよう次の2回戦から仕組まれるのだろう。
「賭けと言ったが、俺が勝った場合はどうなるんだ?」
「もちろん、カムイに勝ったらあなたの願いを必ず聞き入れてあげる。それはマコト・ハザマの名に懸けて誓うわ」
答えたのはマコトだ。
「じゃあ、そっちが勝ったら俺はどうなる?」
ようやく本題とばかりにマコトは妖艶な笑みを浮かべる。
「ケンシン・オオガミ。あなたは私の
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