道場訓 四十六 勇者の誤った行動 ⑪
冒険者ギルドの入り口で
店内に冒険者がいないことを確認して奥の席へと座る。
カガミからは「どうして冒険者ギルドで話さないんッスか?」と聞かれたが、俺は適当に「お前にあんなところの飯より、もっと
やっぱり冒険者ギルドから立ち去ったのは正解だったな。
カガミが言うように本当は冒険者ギルドで話したかったが、俺たちの
なぜなら、
しかし、幸いなことにカガミは俺たちの
これは店に来るまでの
「本当にお久しぶりッスね。あれから3か月くらいッスか? 皆さん、元気にしてましたか?」
「ああ……何とかな」と俺。
「ま、まあね……元気よ元気。当たり前でしょう」とアリーゼ。
「うむ、あまりにも元気すぎて困るくらいだ」とカチョウ。
そんな俺たちの返事を聞いて、カガミは小首を
「本当にそうッスか? カチョウさんとアリーゼさんもそうですが、キースさんも見たところそんなに元気そうには見えないッスが……」
俺は心中で「うるせえよ」と
だが、そんなことを口に出すわけにはいかない。
こいつの機嫌を
「まあ、
「マジッスか? そんな悪いッすよ」
「気にすんな。さあ、どんどん頼め」
俺は精一杯の笑顔をカガミに向けた。
するとカガミは「ゴチになるッス」と
その姿を見て俺は内心ほくそ
まだ幸運の女神は俺を見捨てていないようだぜ。
まさか、今の俺たちに最適なサポーターがこうして都合よく目の前に現れたんだからよ。
俺たちの目の前で飯を選んでいる女の名前はカガミ・ミヤモト。
3か月くらい前、俺たちはとある冒険者パーティーたちと協力してBランクの
森の中のゴブリンの集落から
そしてカガミはケンシンと同じくサポーターであり、
見た目からは想像もできないが、その〈
冒険者ギルドの入り口で俺と出会ったときもそうだった。
自分が日頃から使う生活用品だったのだろう。
後ろから見れば自身の身体が隠れてしまうほどの荷物を
しかも話を聞けば、今は誰にも雇われていないフリーの立場だという。
さっきは仕事を見つけるため、冒険者ギルドに入る途中だったらしい。
まさに
やがてカガミは頼んだ飯を食べて満面の笑みを浮かべた。
すかさずそこで俺はカガミに話を切り出す。
「カガミ、いきなりなんだが俺たちのサポーターとして働かないか? 実は俺たちはこれからある
もちろん、カガミからの返事は分かっている。
ちょうど仕事を探そうと思っていたからOKッスよ、と言うに違いない。
すると――。
「ちょうど仕事を探そうと思っていたからOKッスよ」
まさにドンピシャな答えが返ってきた。
よしよし、まずは都合の良いサポーターをゲットできたぜ。
俺がにやりと笑うと、カチョウとアリーゼも同様の笑みを浮かべた。
どうやら他の2人も考えていることは俺と同じらしい。
「……あれ? でもアタシがサポーターとしてパーティーに入ったらケンシンさんはどうするんッスか? というか、そのケンシンさんの姿がどこにも見当たらないんッスけど」
そう言えばこいつは前の
だとすると、ケンシンをクビにして追放したことを正直に言うのはマズいかもしれねえな。
なぜなら、このカガミは
大半のサポーターは1つの街に
それが〈
そしてこの〈
もちろん、〈
しかし、他の連中に聞く限りでは圧倒的に
俺は腹が満たされて笑みを浮かべているカガミをじっと見る。
目の前にいるカガミは間違いなく典型的な〈
ならばケンシンをクビにしたことを知ってサポーターを断る可能性だってあるかもしれない。
それほど二人の仲は良かった記憶している。
仮にカガミがケンシンに関する本当の事情を知ったあと、俺たちを
だが、せめて今回の《神剣・デュランダル》を取り戻す
今からカガミ以外の俺たちの
それにカガミの〈
なので俺はカガミにケンシンのことを聞かれたとき、「あいつは別件で怪我をしてな。今は
「だが、どうしても今しないといけない
「そうだったんッスか……事情は分かりました。どれだけ皆さんのお役に立てるか分からないッスが、精一杯がんばるのでよろしくお願いしますッス」
「おう、頼もしい限りだ。期待しているぜ、カガミ」
そうして俺たちは装備を整えるため買い出しに出掛けたのだが、このときの俺はまったく知る
まさか神剣を取り戻すための
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