道場訓 二十 闘神流空手に敗北の二字はない
非合法な
この言葉を聞いた冒険者たちは一斉に目の色を変えた。
そして
無理もなかった。
それこそ非合法な
どれぐらいの力が
他にも非合法な
要するにキキョウは俺の力を、非合法な
「とんだ
実際は空手と
正直なところ、ここで
いや、説明すればすれほど俺に対する風当たりは激しさを増すはずだ。
「黙れ、兄上のいる勇者パーティーから追放された無能者め! どんなに言い逃れしようとも、
やっぱり結局はこうなるんだな。
しかし、こいつは自分が
「キキョウ・フウゲツだったな……一つ
俺の
「そ、そんなことは知らん。
キキョウはしどろもどろになりながら言葉を続ける。
「お主は勇者パーティーから追放されたゆえ、そのままでは冒険者として仕事を貰えないと大いに
フン、と胸を大きく張ったキキョウ。
そんなキキョウを見て俺はようやく思い出した。
キキョウには〈
〈
いまいちよく分からなかった二つ目の異名だが、本人を前にして二つ目の異名の由来に納得してしまった。
なるほど……身体は強くても頭が弱いタイプか。
だとすると非常に困った。
このようなタイプの人間に理屈はあまり通じない。
それこそ正論を言えば言うほど、話は明後日のほうに向かっていくだろう。
ならば多少強引でも
「それで? 俺が仮に非合法の
俺の質問にキキョウは鬼の首を取ったとばかりに興奮する。
「
やれやれ、と俺は小さく頭を左右に振った。
「いい加減にそろそろ自分の馬鹿さに気づけ。今の俺たちはこんなところで不毛な言い争いをしている
俺の言葉に冒険者たちはハッと我に返ったようだ。
「そ、そうだ。一刻も早くアリアナ大草原に向かわねえと、この街に住む俺たちの大事な友人や家族たちが魔物どもに襲われちまう」
「で、でもよ……俺たちが行ったところで結局は殺されるだけだぜ」
「だとしても、このまま逃げれば敵前逃亡の罪でどっちみち死ぬだろうが。だったら、最後にこの街を守るっていう
「くそったれ、こうなったらヤケだ! とことん戦ってやろうぜ!」
ようやく自分たちが
だが、一部の冒険者たちの間ではまだ微妙な空気が流れていた。
「待て待て。俺たちが防衛隊としてアリアナ大草原に向かったとしても、じゃあそこで誰が
一部の冒険者たちから出て言葉に、気持ちを高ぶらせていた冒険者たちも
このような大規模な戦いにおいて、味方への
もちろん死ぬ確率はかなり高いものの、この役目を生きて果たした者には通常では考えられない名声や報酬を与えられる大役である。
現在において
成功すれば破格の報酬が得られるが、失敗すれば確実な死が
それが戦場で
そして、俺はまさにこういう局面を待っていた。
再びしんと静まり返った中、俺は
「
これには冒険者たちも大きく目を丸くさせて
本来は公平を期すためクジなどを使って決めるところを、まさか自分から
「お、お主……Sランクの
それはキキョウも同意見だったに違いない。
キキョウは信じられないという顔を俺に向けてくる。
「こんなことを冗談で言う奴がいるか。それに
冒険者たちは互いに顔を見合わせる。
「ま、まあ……自分から
「私もよ。どうせ誰かがやる羽目になるのなら、自分からやりたいっていう奴がやるべきじゃない」
「そうだな。それに非合法な
などとざわめきが戻ってきたとき、キキョウは「
「この者の言う通り、今の
そこで、とキキョウは周囲を見回して提案した。
「このキキョウ・フウゲツにケンシン・オオガミの
そして、とキキョウは高らかに意見を求める。
「同時に今回の
そう言うとキキョウは、決意の表れだったのか大刀を一閃して見せる。
これには冒険者たちも大いに納得した。
直後、冒険者たちは自分の装備を整えて出陣するために動き出す。
「吐いた
キキョウは大刀を
「もうこれでお主はどこにも逃げられんぞ。非合法な
吐き捨てるように言うと、キキョウは
やがて、今まで黙っていたエミリアが話しかけてきた。
「ケンシン師匠、本気なんですか? いくら何でもSランクの
「お前の言いたいことも分かる。だが、心配するな。俺もお前も絶対に死なん」
俺はエミリアにはっきりと告げる。
「
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