道場訓 五 空手の流儀
「つ、追放された
キョトンとする金髪の少女に対して、俺は頭を軽く左右に振って見せた。
「深く考えなくていいさ。君はそのまま後ろの子を守ってあげてくれ」
「まさか、一人で奴らと闘うつもりなんですか? 無茶です! 奴らは〈
「〈
俺は記憶の引き出しから〈
確か死霊系や召喚系の魔法を得意とする、カルト魔法結社の名前だったはずだ。
聞くところによると
「なるほど……ただの
そう言うと俺は黒ずくめの男たちを顔を向けた。
俺と目線が合った黒ずくめの男たちはビクッと身体を震わせる。
残りの黒ずくめの男たちの人数は五人。
魔法を得意とする〈
だが、口調や態度からしてチンピラと同程度にしか思えなかった。
実際、黒ずくめの男たちは動揺しながらも声を荒げて
「こ、このくそガキが! ぶっ殺すぞ!」
「お、俺さまたちの魔法でグチャグチャにされてえのか!」
「待てよ。こっちは仲間が一人
などと好き勝手にほざく黒ずくめの男たちの中、一人の小太りな男が最初から持っていたナイフをこれ見よがしに向けてくる。
「デュフフフ、
小太りの男は自分自身に〈
〈
並の冒険者では反応どころか対応すらできなかったかもしれない。
だが、俺にとって小太りの男を無力化するなど簡単だった。
俺は突進してきた小太りの男の攻撃を難なく
バガンッ!
顔面が拳の形に
手応えは十二分。
小太りの男はほぼ即死だ。
すると二人目の仲間が倒されたことに
姿かたちからしてゴキブリのようだった他の黒ずくめの男たちが、小太りの男と同じく自分自身に〈
〈
馬鹿正直に数で攻めてくる黒ずくめの男たちの戦法に半ば
俺は襲ってきた三人の内、自分から見て右手側の
地面を
ゴギャッ!
衝撃でアゴが
そこで初めて他の二人の男は、俺が
ピタリと動きが止まり、全身を小刻みに震わせて俺を見つめてくる。
それだけではなかった。
残りの男たちの恐怖に
馬鹿か、こいつら?
今さらどう思おうが、俺はお前たちを許す気なんてないぞ。
俺は残りの男たちの一人――中肉中背の男に対して走り出すと、数メートルの間合いのところで地面を蹴って天高く
そのまま中肉中背の男の首元に、空中から足の小指から
メギャッ!
俺の
残りは一人。
俺はふわりと地面に降り立つと、最後の低身長の男をキッと
「ぱ、〈
低身長な男がそう言い放つと、俺の全身にバチッという
「はは……あはははははは! 油断したな、おい! 俺の〈
「いや、別に――
気合一閃。
俺は全身にかけられていた、〈
「ば、馬鹿な! そんなことで魔法が消せるはず――」
ない、と低身長の男が言い終える前に俺は行動した。
俺は瞬く間に距離を詰め、低身長の男の腹に鋭い前蹴りを放つ。
ただの前蹴りではない。
足の指先を固めて蹴る――
ナイフと同じぐらいの殺傷能力のある俺の
「ゲハッ!」
口から大量の血を吐き出す低身長の男。
俺はそんな低身長の男に、
顔面に回し蹴りを食らった低身長の男は数メートルも吹き飛び、やがて何度も転がりながらようやく止まった。
もちろん、そのときには心臓の動きも止まっていたのは言うまでもない。
「さて、残りはアンタだけだ」
俺はリーダーと呼ばれていた長身の男を見る。
長身の男は血の気が引いたように真っ青な顔をしていた。
「安心しろ」
俺は恐怖に染まっている長身の男に言った。
「すぐに部下の後を追わせてやる」
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