後編
――それからの国王陛下たちの末路
会場には国中の貴族だけでなく、他国からの貴賓も招待していた。
そのため彼らの醜聞は即座に諸外国へと広まり……
『王妃に出て行かれた尻軽国王』
『仕事ができない我儘王太子夫妻』
と外交では、彼らは常に笑いものにされた。
国に未来がないと気付いた優秀なものはさっさと国から出ていった。
更に他国の外交官は、これ見よがしと理不尽な要求を突き付けてきており、外国の商品は高く買わされ、自国の商品は安く売りたたかれ、国は衰退の一歩をたどっていった。
優秀なものが少しでもいれば何とかなったかもしれないが、仕事ができない国王、王太子、アンジェラ侯爵令嬢では、どうにもならなかった。
――数百年後の歴史書には、彼らに関してこう記述されていた。
『国を崩壊させた最後の愚王とその息子夫婦』
――それからのアレクサンドラ公爵令嬢
「王女殿下! 私はまだ仕事が残ってます!」
「まあまあ。いいじゃない。少しだけ休憩しましょ♪」
「そういうわけにはいきません!」
「だーめ♪ 今から私とお茶するの♪」
と侍女に押さえつけられ、無理やり椅子に座らされたアンジェラは、渋々王女とお茶をする羽目に。
結局国を出たアレクサンドラは、同じく国を出た王妃の母国に行くことに。
そこで王女に戻った彼女に仕えることになった。
王女はアレクサンドラのことが大層お気に入りなようで、こうして度々お茶に誘われている。
「今日のお菓子は私が焼いてみたの~」
「あ、おいしい……」
「でしょ~」
とこうしてなんだかんだ王女とお茶をしてまったりする時間が、アレクサンドラに増えた。
「……はっ! こうしてる場合ではありません! 早く仕事に戻らないと……」
「慌てない慌てない。さっ……お茶のおかわりもあるわよ」
「ですが……」
「アレクサンドラちゃんは働きすぎです! 聞きましたよ~。ここ数日は夜遅くまで仕事してるって」
「それは……」
「アレクサンドラちゃんは、今日1日私と一緒にお茶をすることが私の仕事ですっ! いいですね?」
「……わかりました」
「うん。よろしい♪」
アレクサンドラはこうして、仕事をし過ぎることが多々あったが、そのたびに王女にお茶に誘われる羽目になった。
そんなことを続けるうちに、アレクサンドラも大量の仕事を抱えることはなくなった。
心にゆとりが生まれるようになった彼女は、むしろ前より仕事のスピードが上がっていた。
やがて王女の右腕と呼ばれ、その手腕をいかんなく発揮する彼女だった。
そこにかつてのようなイライラしていた彼女の姿はなかった。
むしろ王女と一緒にまったりしている姿が周囲に癒しを与えるようになったとか……
「今日もお日様が心地いいわね~」
「そうですね~あ、あそこのお花咲いたんですね~」
「ほんとね~。そうだ♪ 偶には王都に一緒にお出かけに行かない♪」
「いいですね~♪ 一緒に行きましょうか~♪」
王子にブチ切れた彼女の面影は、きっと王女に浄化されたのでしょう。
~~おわり
ブチ切れ公爵令嬢 Ryo-k @zarubisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます