望まない強制デート女子高生

16話。望まない強制デート女子高生


しかも翌日の土曜日はレンと出かけることにした日だった。 金曜日のその日、部活動が終わった後、レンはあらかじめ見ておいた中古車を持ってくることにし、アカリが行きたいと言ってドライブをすると約束したところだった。


あかりは家に帰りながら気が重くなった。


「どうしよう?レンには何て言えばいいんだろう?」


レンは部活動が終わる少し前に担当の先生に話し、先に教室を出た。 おそらく、生徒たちが下校する前に、まず校門を出て車を取りに行こうとしているのだろう。


あかりは家に帰る途中で食材を買って行った。 レンが食べたいと言ったエビチャーハンを作ってみるつもりだった。


レンが食べる料理を作る時はいつも楽しかったが、その日はずっと心が重かった。 午後6時30分になろうとしているとき、レンが家に帰ってきた。


「あかりちゃん、車持ってきたよ。 今見る?」

「今、食事の準備ができたから夕食から食べて。」

「そうなの?やるには車はどうせ明日乗ることになるから。」


アカリはエビチャーハンを2皿に取り,テーブルの上に置いた。 レンはエビチャーハンを見て言った。


「美味しそう。 この前私が食べたいと言ったら作ってくれたんだ。 いただきます。」

「おいしく食べてね。」

「あかりちゃん、ありがとう。」


あかりも食卓の前に座って言った。


「うん。いただきます。」


いつものように一緒にご飯を食べながら何かおしゃべりをしなければならないのに、アカリは気が重くて言葉がよく出なかった。 そして、レンはずっとおいしいと言いながらエビチャーハンをおいしく食べていたが、アカリはどんな味なのかも感じられなかった。 レンはご飯を食べ終わった後、アカリの皿を見ながら言った。


「今日に限ってとても遅く食べるんだね。」

「うん。おなかの調子がちょっと悪くて。」

「そう?何か心配でもあるの?」


その瞬間、あかりはれんに何かがばれたようで慌てた。


「なんでそんなに驚くの? 何かあったんだね。そうでしょ?」


れんの言葉にあかりはどう言おうか迷ってしばらくして言った。


「申し訳なくてどうしよう?」

「何が悪いの?」

「明日、ドライブに一緒に行けなくなった。」

「どうして?」

「それが…···クラスの友達数人が私に一緒に遊びに行こうと言って。 君も知っているけど、私があまり友達とよく似合わないじゃない? それで親しくなれる良い機会だと思ってつい約束しちゃった。 本当にごめん。」


しかし、レンは笑いながら答えた。


「まあ、それじゃ日曜日にはまだ決めておいた日程がないからドライブは明日じゃなくて明後日行こう。」

「ごめんね。」

「いや、大丈夫。 中古車ではあるけど、君に早く車を乗せてあげたかったのに、どうせ明日も明後日も1日の差だけだから。」


アカリはそう言うレンを見ているともっとすまない気持ちになった。


次の日は土曜日なので遅くまで寝た。 起きてみると、レンも疲れていたのか部屋から出てこなかった。


あかりは昼ごはんを食べたり、外出の準備をしたりした。 レンが新しく買ってくれた化粧品は全く使わず、普段学校に行く時のように軽く化粧し、服はジーンズとボックスTシャツを着たままシュンスケと会うことにした場所に行った。


待ち合わせ場所に行こう午後2時になったが、俊介はまだ出ていなかった。 あかりは時間を確認しながら待っていた。 普段もいつも人がたくさん通行する所だったが、週末だからか特にカップルの姿が多く目立った。


約束の時間が5分余り過ぎた時だった。


「渡辺さん、私が遅れたね。」


あかりは俊介を見て何も言わずにじっとしていた。 俊介は髪に油も塗っておしゃれをした様子だった。 ところが、俊介はあかりの顔と身なりを見て言った。


「私はたくさんおしゃれをしてきたら、あなたは強制デートだからか、適当に準備してきたね。 こうなると知っていたら、化粧を濃くしてミニスカートを履いて来いと言えばよかったかな?」

「私がどうしてそうしなければならないの?」


あかりが問い詰めると、俊介は可笑しそうに答えた。


「君は僕に弱点をつかまれたから。」

「……。」

「君は今日私の言うとおりにしなければならない。」

「何を言われた通りにしろと言うの? 何か変なことをするつもりでもあるの?」

「私が変態だと思ってるの? とりあえず、あなたは今日一日中私の彼女だから、誰が見ても彼女らしく見えるべきだよね? とりあえず、ずっと手をつないで歩いてるんだよ。」


あかりは俊介の言うことを聞いた瞬間、急に息が詰まりそうになった。 一緒にいるのも望まないのに、手までつないで歩かなければならないなんてか?


「何時まで一緒にいなければならないの?」


俊介はにやりと笑いながら答えた。


「会ってすぐ別れる時間から聞くの? それは私の勝手だよ。」

「あまり遅く入ってはいけないんだ。」

「なんで?芹沢君と約束あるの? それともその年上の彼氏なのか? 援助交際する相手の男?」

「私は援助交際なんかしない!」

「そう?やらないなら信じなきゃ。」

「家に遅く帰ってはいけないから言ったんだ。」

「遅くても今日は特別なことがあるとお母さんに連絡して。」

「怒られるんだよ。」

「今日私の望み通りにしなければ、今度また私とデートしなければならないよ?」

「何?」

「君の弱点を私が握っているから、柄を私が握っていることを忘れないで。 早く手をつないで。」


あかりは気が進まなかったが、俊介と手を組まなければならなかった。 このように望まない強制デートは一度で十分だから、嫌でも数時間だけ耐えなければならないという考えだった。

俊介はあかりの手をぎゅっと握ったまま言った。

「これがどれくらい待っていた瞬間なの? 手が本当に柔らかいねか? それではデートを始めてみようか?」

「どこに行くの?」

「君は私が行くままついてくればいい。」


俊介がそう言うと、あかりは不安になった。 一体どこに連れて行こうとしているのだろうか? 街には20代や30代のカップルはもちろん、高校生カップルも多く目についたが、あかりと俊介が手をつないで歩いても誰も気にしなかった。


しばらくして俊介はあるビルの前で立ち止まって言った。


「最初のコースは映画館デートだよ。」


あかりは俊介と一緒に映画館に入るのが気に入らなかった。 いや、映画館じゃなくて、どこに行っても気乗りしないけど。


「今日のデートの費用は君が払うんだ。」


俊介がそう言うと、あかりは突然呆れた。 強制的に連れ出されたデートにお金まで使えというのか? ところで、あかりがお金を使うにはれんがくれたカードを使うしかなかった。


「どうしよう?後でレン君が カードの使用内訳を確認すれば分かると思うけど?」


あかりが悩んでいる姿を見て俊介が言った。


「何してるの?あそこの5番の上映館でやる映画を見るからチケットを2枚買って。」


気が進まなかったが、その日お金が必要だとは思わなかったので、あかりが持っているのはれんが使うようにくれたカードしかなかった。 あかりはそのカードで映画観覧費を支払った。


俊介が選んだ映画はアクション映画だった。 俊介は時間を確認してから言った。


「まだ5分残っているね。 映画をただ見るつもりはないよね?」

「じゃあ?…···」

「ポップコーンとコーラも買ってこよう。」


アカリは彼が憎らしくて耐えられなかったが、気を揉んではいけないと思い、ポップコーン1本とコーラ1杯だけを注文した。


「あれ?なんでコーラが一杯しかないの?」

「私は胃の調子が悪くて食べないから受け取って。」


あかりはそう言いながらポップコーンとコーラを俊介に渡した。


「一緒に食べるとデートする味がするんだけど…···まあ、強制的に食べろとは言えないから仕方ないね。 入ろう!」


映画の上映時間はほぼ2時間だった。 俊介は映画を見ながらずっと口ずさみながらポップコーンを食べていた。


アカリはその2時間があまりにも長く感じられたが、それでも俊介がポップコーンを食べるために自分の手を握っていなかったのが幸いだと思った。 そして、ポップコーンを大きいサイズで買ってよかったとも思った。


「トイレに行ってくるから待ってて。」


俊介は映画が終わった後、上映館を出てトイレに向かった。 あかりもトイレに行って鏡を見ながら考えた。 化粧を気にしてやらなかったが、機嫌がよくなかったせいか、ウゴジサンをしていた。


(数時間だけ耐えて。 今日さえ経てば、すべてが終わるから。)


ところが、トイレから出ると、あかりは再び俊介と手を組まなければならなかった。 あかりはむしろ映画を見ていた方がよかったと思った。 もう映画館を出たら、またどこに連れて行こうかと考えていると、俊介が言った。


「そんなに引きずり出されたような顔をしているな。」


強制的に引きずり出されたのが事実だが、どうしろというのか? 一緒にいたくない人と一緒にいるのも耐え難いことなのに無理に笑っていろということか? あかりはそう思うと本当にいらいらした。


「他の所に行こう。」


俊介はエレベーターが到着すると、先に乗り込みながら言った。 映画館の建物を出た後、アカリはどこに行くのか気になったが、聞いてもどうせ同じ答えが出るので聞かなかった。

俊介は1階に到着して映画館の建物の外に出ると、あかりの手を握っていて手を離したら言った。


「私の腕を組んで。 これから腕を組んでずっと街を歩くんだ。 しばらく歩いてから、私が事前に調べておいたイタリア料理店に行くから。」

「どうやって腕組みを?……。」

「いやだということ?」

「私はただデートしてくれればいいと言われて出てきたので、そんなことは全然考えてもいなかったのに?」

「私が望む通りにしてこそ写真をSNSにアップしないと言ったじゃない? お前がこうやって出たら、 写真をSNSにアップすることもできるし…···。」

「それはだめだ!」

「じゃあ、私の言うとおりにしろ。 加えたことも要求するかもしれないのに、やっと腕を組むことで? 今日私の気に入るようにデートしてくれないと、他の日にまた私とデートしなければならないよ?」


これは完全に脅迫犯だった。 アカリは急に目の前が真っ暗になり、涙があふれ始めた。


「まだ始めてもいないのに、何を泣き叫ぶの?」


その時だった。 突然背後から叫ぶ声が聞こえた。


「何してるの?」

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