第13話 社畜とレベルアップ

 《廣井アラタ 魔眼レベル:3》


 《体力:120/120》


 《魔力:200/200》


 《スキル一覧:『ステータス確認:レベル2』『弱点看破:レベル2』『鑑定:レベル1』『身体能力強化:レベル1』『異言語理解:レベル1』『明晰夢:レベル5』『魔眼色解除』》


 《従魔:魔狼クロ → スキルセット(1)『なし』》


 《現存マナ総量……105,640マナ》



「なんじゃこりゃ……」



 思わず思考が止まってしまった。


 なんでこんなにマナ総量が多いのかとビックリしたが……心当たりはある。


 クロに刺さっていた槍型のトレントだ。



 どうやらあれを倒したせいで大量のマナを獲得したらしい。



「お前、とんでもないのに刺されまくっていたんだな……」



 そんな感想を漏らす俺の足元で、クロがジッとこちらを見上げている。


 何かを言いたげな視線だが、コイツは喋らないから何を欲しているのか分からない。



 それにしても……大量のマナゲットだぜ。


 確か三十本ほど破壊したから、一本あたりおおよそ3,000マナくらいだろうか。


 ちなみにスマホの電卓アプリで計算したらスライム250匹分だった。


 ヤバすぎる。


 RPGとかなら、完全に終盤の敵じゃねーのこれ!?



 ていうか実はあの槍、とんでもなく危険なものだったんじゃ……


 一歩対処を間違えてたら死んでたかも知れないと思ったら、ドッと冷や汗が出てきた。


 まあ、とりあえず無事だから……無問題ノープロブレムということで。



 さっさとレベルアップをしよう。


 俺はステータスを呼び出した。




 ◇




「よし、こんなもんかな」



 俺の目の前に浮かんだステータスを眺めながら、俺はひとりウンウンと頷いてみる。



 《廣井アラタ 魔眼レベル:3→10》


 《体力:120→350》


 《魔力:200→570》


 《スキル一覧:『ステータス認識』『弱点看破:レベル2→5』『鑑定:レベル1→4』『身体能力強化:レベル1→3』『異言語理解:レベル1』『明晰夢:レベル5』『魔眼色解除』 『魔眼光:レベル1→3』『威圧:レベル1→2』『模倣:レベル1』》


 《従魔:魔狼クロ → スキルセット(1)『なし』》


 《現存マナ総量……105,640→3,500マナ》


 よし。


 これでだいぶダンジョン攻略しやすくなったんじゃないかな?


 とりあえず魔眼のレベルを上げると体力と魔力が増えるのでこれをメインに上げつつ、ダンジョン探索に必要そうなスキルを伸ばすようにしてみた。


 どうも体力よりも魔力が上がりやすいように思えるけど、積極的にスキルを使っていった方がいいのだろうか?



 で、スキルのレベル上げは『弱点看破』と『鑑定』、それに『身体能力強化』はダンジョンでの生存能力に直結するのでマスト。


 ちなみに『魔眼光』と『威圧』はとりあえず余ったマナで取得して、適当にレベルを上げておいた。


 ちなみに『模倣 レベル1』は魔眼レベルが10になったときに取得したスキルである。



 それはさておき、『威圧』と『模倣』はなんとなく効果が推測できるのだが、『魔眼光』ってなんだ。


 魔眼は光るのが基本っぽいし、さらに強く発光したり色が変わったりするのだろうか。


 七色に変化するゲーミング魔眼とかになったらイヤすぎるんだが……


 まあ、今回取得したスキルについてはダンジョンに入ったときに試してみるつもりだ。



 その代わりというか、取得可能スキル一覧にスキルが出てこなくなってしまった。


 おそらくまたレベルを上げれば新たな取得可能スキルが出てくるものと思われる。出てくるよな?


 まあ、それは今後レベルを上げた時のお楽しみ、ということで。



 それと、もうひとつ。


 クロのことだ。



 一応コイツは俺の『従魔』ということになっている。


 そして、ステータス一覧を見ると『スキルセット(1)『なし』』という項目が確認できる。



 これが何なのかレベルアップ作業をしているときは分からなかったが、どうも俺はクロにスキルを一つ覚えさせることができるようなのだ。


 ということでやってみる。



「クロ。俺のスキルはいろいろあるけど、お前は使いたいものあるか?」


『…………』



 クロが俺の目をジッと見て、小首をかしげる。


 そうだよな、お前犬っていうか魔物だもんな。


 俺の言葉、分からないよな……



 というか、昨日の『従魔契約』なのだが、どう考えてもクロ自身が作り出したものではない気がするのだ。


 なんというか、そうだとするとあまりにも出来が良すぎる・・・・・・・というか。



 ちなみに契約の条項は謎言語で書かれていた。


 ここは俺のスキル『異言語理解』とやらが仕事をしてくれたらしいので問題なかったのだが……


 ならばなおさら、コイツ自身がまったく喋らないというのもおかしな話だ。



 だから現状から推察するに、多分この従魔契約とやらはクロ以外の存在が作ってクロが勝手に使っているものだと思われる。


 あるいは、『従魔契約』そのものがコイツのスキルなのかもしれない。


 

 いずれにしても、クロは俺の言っていることが分からないし、俺はクロの求めていることが仕草を通してしか分からない、ということだ。



 ということで、勝手にスキルをセットすることにした。



「クロ、ひとまずお前に与えるスキルはこれだ」



 言って、俺はステータスを操作する。

 


 《従魔:魔狼クロ → スキルセット(1)『弱点看破』》

 

 

 スキルを『弱点看破』にした理由は明確で、これがあればクロは魔物を効率に倒すことができるだろうと思った。


 ただ、従魔にスキルをセットした場合はレベルが表示されないみたいだ。


 これではクロがレベル1のスキルしか使えないのか、俺のスキルレベルが反映されるのかが分からない。


 個人的にはどっちもあり得ると思うんだけど……実戦で試してみないことには分からないな。



 今日はまだ時間があるし、よく寝たおかげで体力も十分ある。

 


「クロ、もう一度あのダンジョンに入ろうと思うけど、大丈夫か?」


『…………!』


 クロは吠えたりしなかったが、こちらをしっかりと見て尻尾をブンブンと振っている。


 これはOKの意思だよな、多分。


 

「じゃ、行こうか」


 俺はクロを連れてダンジョンに向かった。

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