超魔導兵器アルテミス

神里みかん

第1章 東欧戦線編

アバン(この作品世界の歴史)

adamant frame [ǽdəmənt freim] <名> {C}

人型魔導兵器、アダマント・フレーム、AF。

                    オンライン英和辞典より


アダマント‐フレーム [adamantframe] 主に全高10メートル前後の人型兵器。動力源にアダマント鉱石を使用したマナドライブを用いる。2170年頃に開発された。人型魔導兵器。AF。

                     

                    ウェブペディア大百科より




_______

 西暦2062年地球、地中深くから発見されたアダマント鉱石は、人類の歴史に革命をもたらした。この神秘的な鉱石は永続的にエネルギーを放出し、人類はその力を利用して飛躍的な進歩を遂げる。

 しかし、この力によって引き起こされる遺伝子の変異は、新たな種類の人類を生み出した。彼らはアダマントのエネルギーを内に宿し、様々な媒介を通じて超自然的な能力を発揮することができるようになったのだ。その力はこれまでおとぎ話で語り継がれてきた魔法のようなものだったことから、『魔力』と名付けられた。そして、魔力を持つ人々は、行使可能なその力を畏怖され『魔導師』と呼ばれるようになる。


 アダマント鉱石の技術発展は人類社会に幸福だけでなく、新たな脅威も生みだした。鉱石を使用したアダマント兵器が多数開発されたのだ。アダマント兵器は次々と生み出され、通常の兵器をはるかに凌ぐ性能を誇った。特に、アダマント鉱石を使用した10mの巨体を持つ人型兵器『アダマント・フレーム』、通称AFは戦場で圧倒的な存在感を示すこととなる。


 開発初期は製造コストや鉱石の採掘量から量産が進まなかったAFだが、宇宙で豊富なアダマント鉱石を有する小惑星が発見されると、瞬く間にその数を増やした。


 そして、悲劇は起こる……


 西暦2195年に第1次魔導兵器大戦が勃発。これまでの戦争で用いられた通常兵器の何倍もの火力を誇るアダマント兵器が多数投入されたこの大戦は、地球上にかつてない規模で多くの犠牲者を出すこととなった。


 5年間にわたって世界を破壊しつくした戦争が終結し、西暦2205年。この悲劇を再現しないため、人々は国際機関としてアダマント兵器を管理・規制する武器管理員会(Weapon Administration Committee, WAC)を創設した。


 当初、この組織は国際的な安全保障や武器管理のための重要な枠組みとして、多くの加盟国によって歓迎された。しかし時間の経過とともに、異なる利害関係や意見が浮上し始めるようになる。特に復興の過程で軍事産業がますます大きな影響力を持つようになった米国や、組織のあり方に疑問を抱く国々が現れることとなった。これらの国々は組織の方針や方向性に不満を抱き、結果として組織からの脱退を選択。

 その後、これらの脱退国や反対勢力は、過激派組織と結託し新たな組織を形成。その組織の名は、武器解放戦線(Weapon Liberation Front, WLF)。彼らは武器管理や制限に反対し、自国の利益や主張を強調するために行動を始める。


 西暦2249年、米国内部穏健派にWAC復帰の機運が高まるも、軍需産業複合体の後押しを受けた軍がクーデターを引き起こす。それに伴い米国は、軍閥が支配するアメリカ連邦共和国と穏健派が統治するアメリカ合衆国に二分される。 


 この内戦の勃発に伴い、WACは合衆国側からの要請を受けて、直属の軍を派遣。最初はWAC側が優位に立っていたものの、一部共同体の離反によって戦力は拮抗。戦闘は世界各地に飛び火し、管理軍と解放戦線の正面衝突へと発展した。


 そして半年が経過した今も泥沼の戦いは続いている。

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