第2話 楽しい昼餉

「あ~んで、ゴワス・・・」

としちゃんの大きな瞳が間近に迫って。


「ち、ちょっと・・・」

隆盛は戸惑いながらも熱いものが身体に沸き上がるのを感じていた。


「んっ・・・」

口の中に甘酸っぱい味が広がる。


利通が持つ箸に刺したイチジクを頬張ったからだ。


「ふふふ・・・」

弾ける笑顔が眩しくて。


隆盛は目をだらしなく、歪ませたのだった。


あの日。

初めて利通の骨ばった身体を抱きしめてから。


その温もりを忘れずにいた。


利通も。

隆盛の逞しい腕の中で。


初めて。

自分の想いを実感したのだった。


それ以来。

ツンデレも無く。


利通は。

隆盛に。


デレデレに。

なったのでした。


勿論。

隆盛も。


利通に。

デレデレ。


なの、でした。

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