仮病

@Mozks-darake

第1話

朝、僕は猫にあった。

いつも歩いている通学路の、知らない人の塀の上にいる猫。何かにとらわれることもなく、朝日を浴びて気持ちよさそうにあくびをしていた。かわいい。朝からのんきでうらやましい。すると、猫と目が合った。僕は目をつぶった。猫に好かれる人は目を合わせないらしい。しばらくして目を開けた。猫はいなくなっていた。



いつも通りの学校生活の中で、少しだけ変化が起きた。授業中に睡魔が襲ってくるのだ。これまで真面目に授業を受けていて、眠くなることなんてなかった。窓から入ってくる穏やかな風。昼間は特に太陽の光が眠気を誘った。

いつの間にか僕は眠っていた。



夢の中で僕は猫になっていた。顔と地面が近い。喋ったつもりが鳴き声に変わっている。四つ足で歩くことも不思議としっくり来た。あ、虫がいる。なぜか気持ちが疼く。そっと近づきとびかかる。逃げられた。ひげが気になる。ここ、あったかいな。眠くなってきた。すこし、眠ろう。



気づくと放課後になっていた。なぜか夢のことは覚えている。昨日見た明晰夢とやらかもしれない。学校から帰る途中で、朝見かけた猫と出会った。僕はまた目をつぶった。撫でてみたい。そう思って目を開けると、猫はいなかった。

家に帰って、布団にもぐる。試しに、にゃぁと言ってみた。恥ずかしくなった。



僕は猫に化かされたのだろうか。

明日学校を休んで猫を探しに行こう、そう思った。

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