第33話
「「あ」の次は「い」か」
十文字が独り言のようにつぶやいた。
「「い」の次は「う」ですよね」
部下の刑事が追随した。
「何か、言葉が盗まれるって
実感が湧きませんけど」
「本当だ。無自戒の奴、気が触れたんで
なければいいんだが」
「十文字警部、殺人事件です」
「そうか、場所は」
「紀尾井町の貴金属店、店主がやられました」
「わかった」
十文字が現場に向かった。
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