第33話 LIVE開始!
天摩を危うく、グーで殴りかけた次の日。
「ついに始まりますね!」
「はい!よろしくお願いします。」
「こちらこそ!」
時刻は朝九時半
今日は星奈さんの大学が休みということで、配信をしてもらうために会社に来てもらった。
今日から始まる『オームロ工房』ライバー課のライブ配信。
星奈さんが大々的にデビューする日だ。
星奈さんが配信するチャンネルは、前から使ている『つーちゃんねる』だ。
そして今回、その名前を新たに『
月星という名前は、星奈さんに名前を変える段階で考えてもらった。
ちなみに月星にした理由は、俺にいい名前だと言われたからだそうで、俺なんかの意見を取り入れてくれてありがとうございます、星奈さん。
さて、まずは星奈さんの配信のために準備をしなくちゃな。
星奈さんは顔出しはしないで実況したいとのことだったから、声だけが配信に乗るようにしなきゃいけない。カメラは必要ないからつけなくてよし。
次に配信画面。これは画面の下と右側にコメントバーと時間、配信内容に合わせて書いておきたいことが書ける場所を作った。
色は星奈さんの好きなあわいライムグリーンにしてある。
ここにこれからコメントが流れると思うとわくわくする。
もちろんだが、この配信画面はこの『オームロ工房』製だ。
そして、俺たちはこの配信を全力サポートする。
直接配信に干渉したりはしないが、立ち位置的にはスポンサーみたいな感じだろうか。
そこで星奈さんの配信画面の右上、電子時計の下に会社の名前をいれさせてもらった。
これで配信画面を作ったのが俺たちだってわかるだろうか…?
だが今はとにかく、会社の成長よりライバー課を、初のライブ配信を成功させることが大事だ。
あとはお茶入りのペットボトルを置いておく。喋ったらのどが渇くだろうしね。
これで配信の準備は完了。あとは『ヨーツベ』を開いてライブを開始すれば、全世界に配信される。
ちょっと緊張してきたな…。
俺は星奈さんを個室に呼んで、マウス感度や椅子の高さを調整してもらった。
ガンゲームはこういうのも大事になってくるだろう、自分のやりやすい環境でやる方が、一番パフォーマンスをよく見せられる。
「できました。」
数分して星奈さんが席を立つ。調整が一通り終わったようだ。
「…ちょっと緊張してきました。」
星奈さんが明るくも、ちょっと不安そうな表情をする。
うん、俺もそうだ。
「俺も緊張してますよ。星奈さんの正式な配信デビューの時ですし、これかrの会社のことを左右するかもしれませんからね。一緒に頑張りましょう。」
「そ、そうですね!いい配信いしたいです!」
いつも以上に張り切っている星奈さんだ。
ここからは見守るしかない。
「俺もです!」
配信開始まであと十分…。
配信開始まで残り3分程度になった。
いつでも配信ができるように『ヨーツベ』を開き、設定したライブ配信予定の動画を開くと…。
「「えっ?!」」
俺と星奈さんは同時に驚く。
月星とかかれたチャンネルの、登録者の数に2.57万人と表示されていた。
え????昨日見た時は12とかだったと思うんだけど?
…見間違いじゃない、本当に2万人越えの登録者がいる…!
そのまま俺と星奈さんは配信待機画面のライブコメントを開く。
「「え?!?!」」
そしてさらに驚いた。
つねに新しいコメントで動くコメント欄。
いろんな人が「待機」とコメントしたり、あいさつやVショットの話題が飛び交っていた。
そしてなにより、
待機中の人数表示に1560とかかれている。
…これは1560人が配信を見ているってことだ。
…頭が追い付かない…。
いや…、え??なんでこんなに人が…?
「…あ。」
俺はいそいで『しゃべったらー』を開いた。
こんなに一気に登録者と視聴者が増えるなんて…、ほぼ間違いない…。
日間のトレンドを見る。
「お…」
ゲームトレンド三位のハッシュタグに「#Vショット」とある。
そのハッシュタグをタップする。
すると、沢山のつぶやきとともに。月星とかかれた『ヨーツベ』のチャンネルの写真が拡散されていた。
そして、その画像にあるつぶやきのどれもに、「#可愛くて最強」という謎のハッシュタグがあった。
そしてそして、「祭り」の文字。
これは「チャンネル8」でたびたびおこなわれる「祭り」を刺す言葉。
例年はキャラ投票を斜め上の偏った結果にしたり、全国同時牛丼注文とかそういう企画をやったりするのだが…。
今回の祭りの内容は多分、「月星さんの初配信を盛り上げる」…とか、そんな感じだろうか?
…すごい…。
なるほど…、知らない間にここまで話題になってたんだ…。
そうだよな、俺星奈さんとアジアサーバーで散々遊んでたんだし、星奈さんのあのスーパープレイは目にも止まるか…。
「…星奈さん、どうやら俺たちの知らないところであなたは有名人になっていたらしいですよ。」
俺は星奈さんに『しゃべったらー』の画面を見せた。
「え…、」
星奈さんはつぶやきを読む。
「………わああああああ凄いです!!私のプレーを見て、配信にこんなに人が集まってくれたんですね!!!」
星奈さんは、つぶやきを読むたびにもうそれはもう大喜びだ。
そりゃそうだ、自分の配信を見るために1500人以上の人が来たんだから。
これは想像以上の好調なスタートを切れそうだ…。
俺は元気を入れるつもりで、星奈さんの背中を軽くポンポンと叩く。
「さぁ、星奈さん、間もなく配信スタートですよ。頑張ってください!」
「…はい!全力でやります!!」
時計の針が午前10時を刺した。
星奈さんはエンターキーを押して配信を開始する。
「皆さん初めまして!月星です!」
\*よければ作品に、レビューといいねをお願いします!*/
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます