第7話 進軍
朝霧が城の周囲を包み込む中、翼は深刻な表情で軍議の席についていた。
安芸国虎が和睦を拒絶した報せが届き、緊張が室内に充満していた。盛山と藍も翼の脇に座り、事態の収束策を探っていた。
翼は冷静に声を発した。
「和睦の道は閉ざされた。だが、これは新たな機会だ。安芸への進軍を決断する。」
盛山が軍事的な視点から提案した。
「安芸の内情には不穏な動きがあります。我々への寝返りを望む将たちもいる。
これを利用すれば、戦を有利に進められるでしょう。」
藍は、民の不安を和らげるための方策を考えていた。
「人々には真実を知らせ、安心させなければなりません。また、安芸に残る民たちを救う計画も立てましょう。」
軍議は終わり、翼と盛山は進軍の準備に取り掛かる。
藍は城下町を巡り、民の不安を抑える言葉をかけ、支援の手を差し伸べていた。
進軍の日、士気高く馬を駆る翼とその軍勢は、安芸国境に向かって進んだ。
途中、予想通り安芸の数名の将が降伏し、翼のもとに合流した。
彼らは安芸国虎の支配に不満を持ち、また安芸まで届いていた翼の名君ぶりから、変革の波に乗ることを選んだのだ。
「私たちは、新たな時代のために剣を振るいます!」寝返った将の一人が力強く宣言した。
翼は彼らに向けて頷き、心強い同盟の証として握手を交わした。
「君たちの勇気を忘れない。共に歩む道は困難だが、我々は新しい歴史を作るのだ。」
戦は予想に反して一方的なものとなり、翼の軍は安芸国の城を一つまた一つと制圧していった。
それぞれの戦いにおいて、翼は戦略的な知恵と現代の戦術を巧みに取り入れ、敵を翻弄した。
藍は、占領した地域での救護活動を指揮し、民の信頼を勝ち取っていた。
彼女の優しさと確かな行動は、新たな支配者への恐れを希望に変えていった。
夜の会議で、翼は藍と盛山に感謝の言葉を述べた。
「君たちのおかげで、この戦は一つの大きな進歩となった。しかし、まだ終わりではない。安芸国虎との最終決戦が待っている。」
その言葉に、盛山は戦略地図を指でなぞりながら頷いた。
「殿、安芸国虎が築いた防衛線は厚い。しかし私達には彼らが想像もしない戦術がある。勝利は時間の問題です。」
藍もまた、彼女の役割の重要性を認識していた。
「私たちが勝利するためには、戦うだけではなく、勝ち取った土地での治安維持と民の心を掴むことが必要です。私はその任に全力を尽くします。」
本陣の灯りの下で、三人の影が結束を固めていた。
翼は二人の忠誠と尽力に感動し、彼らと共に新たな時代への道を切り開く決意を新たにした。
盛山と藍は翼の決意を支持し、三人は固い絆で結ばれていた。
彼らは新しい章を開く準備ができていた。安芸国虎への最終進軍は、ただの始まりに過ぎなかったのだ。
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