姫若子って呼ぶなっっっ!~イケメンの俺が転生したら家臣にバカにされてた~

夢丸

姫若子転生

第1話 「姫若子」~ひめわこ~

都心の高層ビル群の中、一際目立つビルの中で22歳の青年がデスクトップの画面を眺めていた。

彼の名は翼。高身長で整った顔立ちをしている。


いわゆるイケメンだ。


だが、その目には何か物足りなさを感じる。


彼は深いため息をつきながら、窓の外を見つめた。

「なんでこんな仕事してるんだろう…。もっと面白いことがしたいのに。」


彼の声には、自分自身の生活や仕事に対する疑問と、やる気のなさが滲み出ていた。

翼は、常に人々から注目されるイケメンであることに、内心で戸惑いを感じていた。

その外見のせいで、本当の自分を理解してくれる人が少ないと感じていた。

また、仕事もただのルーチンワークで、心から楽しんで取り組んでいるわけではなかった。


「またこのプロジェクトかよ…」翼はため息をつきながらキーボードを打つ。


彼は自分のデスクに広がる書類を見つめながら、あくびをしながら、ぼんやりとした表情で独り言をつぶやいた。

「ふぁぁ、こんな日常、ずっと続くのかな…。」


翼の手はキーボードから離れ、両方のポケットの中に納まっていた。





仕事が終わると、翼は友人たちとの待ち合わせ場所へと向かった。

夜の街は明かりで溢れ、人々の笑い声や会話が絶えない。


いつもの居酒屋に着くと、大学生らしい男女のグループや40代と思われる作業着風の男性のグループがテーブル席に陣取っている。その横を通り抜けると、いつものメンツが揃っていた。


「翼、遅いよ!」歴史オタクで知られる友人・光一が声をかけてきた。


「ワリぃ!ワリぃ!仕事が長引いてさ。」翼は謝りながら席につく。


飲み物が運ばれてきたと同時に、光一は熱っぽく戦国時代の話を始めた。

「翼、長宗我部元親のこと知ってる?」


「え? ああ、聞いたことはあるけど…」


「彼はすごいんだよ!四国を統一した武将で、土佐の英雄だったんだ!」

光一は目を輝かせながら話し続ける。


翼はいつの間にか、興味津々で光一の話を聞いていた。

元親の武勇伝や逸話、そして彼が「姫若子」というあだ名で呼ばれていたことなど、次々と驚きの事実を知る。


「姫若子って…なんでそんな名前なんだ?」

翼は不思議そうに尋ねる。


「それはね、元親が非常に美形で、その美しさから『姫のような若者』という意味で、戦が出来ないうつけ的な意味で家臣たちにからかわれていたんだ。」


翼は自分と重ね合わせて考える。イケメンであることの裏の苦労や、それに伴う孤独。彼は元親の気持ちを理解できるような気がした。


そんな程度で理解など出来るわけないのだが。


それからなぜか元親の事が頭から離れなくなり、他の話はほとんど「うわの空」で聞いていた。


その夜、翼は帰宅後、元親のことを調べることに。彼の歴史や功績、そして「姫若子」としての逸話。深夜まで調べ続けた翼は、ベッドに横たわりながら、目を閉じた。


そして、目を開けると、










彼は見知らぬ場所にいた。

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