異世界でアイドルを育てよう
永山満樹
第1話 プロローグ
俺の名前は平野草太。独身彼女無し。毎日自動車の部品を作る工場で誰と会話するでもなく機械と部品を操作する。
アパートと工場を往復するだけの日々。唯一の趣味はアイドル観賞。テレビの前で輝く彼女達を何千人と見てきた。
そんな彼女達の中に一際輝く少女がいる。光を放つ少女はやがてトップアイドルになってゆく。
その光が他の人にも見えるのか分からない。そんな話をする友人もいないのだから。
平穏だけど虚しい日々。
そんなある日、いつもの様に部屋を暗くしパイプベッドに横になって天井を見上げていると小さな光の点に気づいた。何か女性の声も聞こえて来る気がした。
やがてその光と声はだんだんと大きくなり俺を包み込んだ。
あまりのまぶしさに目を閉じていたが、次に目を開いた時には間違いなく自分の部屋ではなくどこかの研究室の様な場所だった。
目の前には美しい女性が立っていた。
「おお、救世主様。よくぞお越し頂きました。」
彼女はサラと名乗り俺の名前を聞いてきた。
「草太」
戸惑いながらそう答える。
「おお、ソータ様!」
名前を聞いて深々とお辞儀をしてきた。
「どうぞ国王にお会いになり、この国の窮状をお聞き下さい。」
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