第14話 バグ

「リリア様。トルド様がお呼びでございます」


 部屋にメイドが入って来たかと思えばそう告げてくる。


「いかなきゃだめですよね?」

「はい……」


 仕方ない。私は1人メイドに先導される形で部屋を出た。本当はナホドも連れて行きたかったがメイドに断られた。

 絢爛豪華な廊下を歩き、巨大な扉が重々しく開かれると大広間が姿を現す。


「リリア。待っていたよ」

「トルド様」

「ぜひ君と話がしたい」


 そう言ったトルドはメイドにあるものを渡す。


「サンドイッチですか」

「君の好物だろう?」


 目の前に丸い机とハムとすり潰されたゆで卵の入った四角いサンドイッチが並べられたお皿が配置される。

 しかし……。


(サンドイッチを好きなのは主人公だ。リリアの好物じゃない)


 そう。このゲームでサンドイッチを好物とするのは主人公だ。リリア・シャーケインの好物はベリーが乗った白いケーキ。

 トルドは主人公の好物を間違えている。しかも。


(サンドイッチをこうして食べさせるの……トルドルートで起こるイベントじゃん!)


 おかしい。ものすごくおかしい。

 そして何かに導かれるように私は核心へとたどり着いた気がした。


「……バグってる?」


 トルド周辺にバグが起きている。だから私……リリアに対してあんなわけわからない行動をしているのか! 

 そう考えると、点と線が繋がった気がした。


「サンドイッチ食べないのか?」


 トルドはそう不思議そうに語る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私を秒で追放した王子様なんて必要ありません。 二位関りをん @lionusami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ