第10話 暇つぶしデートと今後の計画
挨拶に来ていたナホドは一礼して、私の部屋から去っていった。私は彼の背中を穏やかな笑みを持って、ドアが閉まるまで見送った。
(さあ、どうしようかな)
学園には行かないでここで過ごす。これは私が決めた事だが同時にある問題もあった。それはどうこの洋館で時間を潰すか。である。
いやまあ、やろうと思えばだらだらと過ごす事は出来る。しかしここにはスマホもテレビも無いので娯楽は限られてくる。それに釣りは……危ないとナホドは気乗りしてはいなかった。
(何して過ごそう)
色々考えた末に、ある結論にたどり着いた。それはこの街の散策である。
勿論危険はあるが、リリアだと気づかれないように変装をすれば危険は減らせるはずだ。それにナホドも一緒に同行させたい。
というか実質これはナホドとのデートではないか。よし、こうなったら好きになった人とデートを楽しもうではないか。
「よしっ決まった!」
早速私はナホドを呼び、その事を伝える。
「え、よろしいので?」
「ええ、時間があるので良かったら。私だけでは危ないでしょうし、ナホドも付いてきてくれたら安心だと思ったの」
「そうですか。では参らせて頂きます」
ナホドの同行も決まり、早速私は余所行きのドレスに着替えて化粧もし直して外出の準備をした。ドレスも化粧も一応はあまり目立たないものにした。
なお両親は一足早くに家を出て教会に行ったとのメイドからの報告だった。どうもこの洋館で1日中ずっといるのは、気が滅入るらしい。
(まあ、そうだろな……)
あまり外をうろうろ出周りすぎるのも、トルド及びその関係者に目を付けられそうで怖い。なんせ私達は一応は追放処分となった身である。
(節度を守らなきゃ、だよねえ)
準備が終わるといよいよナホドと共に外出した。
「ナホド、この洋館の近くで良いところ、あるかしら」
「では、図書館はどうでしょうか。結構近いですよ」
図書館。そこなら色々大丈夫そうだろう。
「分かりましたわ。そちらへ参りましょう」
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