第5話
「あぁ もう朝か………」
結局、あの後で二人がラブホテルの方に向かったのを見届けて、監視カメラのハッキングを終わったんだよね。
さすがに、主人が他の女と寝ているのを見るような趣味はないのよ。
「さてと 朝食を作るかなぁ」
とりあえず、いつ帰って来てもイイようにしておかないとね。
また、帰ってすぐ出られてもアレだし。
「もう これは捨ててっと」
ビーフストロガノフを、三角コーナーに突っ込み味噌汁の具を切っていると、
「ただいま」
思ったより、早く帰って来たリーダー。
「おかえりなさい」
ニコッと、笑って答える。
「あぁそうだ
食べ損ねたなごめん」
ビーフストロガノフの、残り香で気がついたみたい。
まぁ、あたしには嗅覚も味覚もないからわからないけどね。
「あやまるのは それだけ ?」
いよいよ、核心にせまってみようと思って聞いてみる。
「あっ そうだな
遅くなるって 連絡した方が よかったのかな」
ちゃんと、連絡をくれるような人ならわざわざハッキングしてまで監視しないのよ。
「そうよね
どこに 行っていたの ??」
さすがに、ちゃんと答えるんじゃないかしら。
「知り合いの実家に行っていたんだ」
なにそれ。
知り合い程度の家に泊まり ??
「へぇーそうなんだ」
あきれて、回路がオーバーヒートしそうだわ。
「うん」
いや、なんだよ。
「それで 知り合いの女って どんな人なの ??」
さあ、答えるのです。
「いや
知り合いは 男だよ」
苦々しく答えるリーダー。
「えっ そうなんだ」
あれ、そうなの ??
「そう」
どういうことだろうか。
「その知り合いとは どんな話をしたの ??」
ちょっと、置いといて切りクチを変えてみる。
「………そいつとは 話をしていない」
吐き出すように答えるリーダー。
「えっ ??」
なにこれ。なぞなぞとかそういうクイズなのかな ??
「知り合いの 家族と いろんな話をしたよ」
家族って、本人がいないのに話が続くものなのかよくわからないけどね。
「家族と?
どんな話をしたの ??」
内容を、聞いたら理解出来るかも知れないんだけどな。
「もう イイだろう
なんだか 最近疲れるよ」
また、シャットダウンされたわ。
「うん………」
これ以上、機嫌をそこねてもいけないよね。
「明日から また勤務だから
ちょっと 休むよ」
フラッと、寝室に向かうリーダー。
「うん 朝食は食べるの ??」
とりあえず、聞いておかないとね。
「そうだな
ちょっと食べようかな」
チラッと、あたしの顔を見るリーダー。
「うん すぐ用意するわ」
ひどく、疲れている顔色にこれ以上質問をぶつけられないよね。
「うーん」
ダイニングテーブルの、イスに腰掛けて突っ伏してしまったリーダー。
「ねぇ 調子悪そうだけど 大丈夫なの ??」
リーダーの、背中をさすってみる。
「大丈夫」
大丈夫そうじゃあない返事が返ってくる。
「そう それならイイけど」
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