第10話

「ふふ……そろそろ屈服する気になりましたか?」


「……だ、誰が……するもんか」


ゲーム開始からここでの時間で2日ほど経っております。

相変わらず口では反抗しておりますが……


「あら? 身体はそうでもないみたいだけど?」


わたくしは彼女の胸の突起に指先を少しだけ触れる。


「ひゃああああんっっっ!!!!!」


身体は最初よりも正直になって、その反応を示しています。

既に彼女の身体で反応しない部分は、もう無いですね。


「はぁ……はぁ……調子に乗るのもいい加減にしなさい。この性悪女!」


とアニエスがわたくしの後ろをちらちら見ながら、わたくしを挑発してくる。


「そんなに強がらなくても。楽になった方がもっと気持ちいいですよ? きっと……」


「ふんっ……そっちこそ、断罪される前の命乞いでも考えといた方がいいんじゃないの?」


と精一杯の虚勢を張って、わたくしを挑発してくるアニエス。

その姿を見てるだけで更に興奮してきますわ。


「時間はまだたくさんありますし、あなたで楽しませていただきますわ」


「……ふっ。あんた馬鹿じゃないの? 時間の管理も碌にできないのね」


「……?」


とアニエスの言葉を最後に部屋中にジリリリっと大きな音が響き渡った。

見ると72時間を示していたタイマーが『0』を示している。


「……あらあら」


「あはははは! 残念だったわね! このゲームあたしの勝ちよ!」


と勝利を確信して大喜びでわたくしを見下しているアニエス。

その表情もかわいいですわ。


ではもう3時間経ちましたのね」


「ははは…………えっ……?」


とさっきまでの表情から打って変わって、ポカーンとした表情になっているアニエス。

ころころ表情が変わって、見てて飽きないですわね。


「何言って……」


「言ってませんでしたっけ? この部屋全体に時間加速の魔法がかかってますのよ」


「時間加速……?」


この部屋は、賊の尋問用に時間加速の魔法がかけられている。

簡単に言うと、この部屋の時間は外部よりも早く進んでいる。


「ここでの1日は、現実世界で1時間しか経ってませんの。つまり残り時間は『2日と21時間』……ここだと『69日』ね」


わたくしの言葉を聞いて怒りをあらわにするアニエス。


「ふざけんじゃないわよ!? そんなの詐欺よ! 無効よ無効!!!」


「あら? わたくしは最初に申しましたわよ。『現実世界で3日間』と」


「そ、そんな……」


と絶望した表情になっているアニエス。

ちゃんと人の話は聞かないからいけないんですよ。


「いい教訓になりましたわね。これからは人の話は細部まできちんと聞いた方が――て、あら?」


緊張の糸が切れたアニエスは、身体の力が抜けて足元に大きな水溜まりを作り出してしまいました。


「あらあら。許可なく粗相してはいけませんよ。これはもっと教育しないといけませんわね」


「……あ、あた……」


「?」


「あたしの……負け――んぐっ!」


わたくしはアニエスの口に布を咥えさせました。

丁度いいところに彼女の服が合ったので。


「あら? 何か仰いまして?」


「んがっ、んががぎの――っ!」


「なんて仰ってるかわかりませんけど、屈服するときはちゃんと仰ってくださいね?」


ちゃんと喋れたらの話ですけど。


「まだまだ時間はたっぷりありますからね? 頑張って抵抗してくださいね?」


「んーっ! んんーーっ!!!」


ああ、希望が打ち砕かれた後の絶望に満ちた表情。なんて素敵なんでしょう!!

まだまだ時間はたっぷりありますからね。

最後まで楽しませていただきますわ。

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