第58話 リッシュの店では最短で買い物を

「次はリッシュの店だなあ。リッシュの店も何か新製品とかあるかな? いや、古着屋だから、新製品はないか。新しく入荷したものはあるかもなあ、楽しみっと」

<お主、必要なものだけ買って店を出ないと、時間ばかりがすぎるぞ>

 スヴァからすかさず注意が飛ぶ。

「だってよ、歯ブラシは重要だろう。それに関わる新製品見せられたら、話を聞かないとさ、な?」

<磨き粉とやらを購入した後も、我が声を掛けねば、あそこの女主人とずっと話していそうだったではないか>

「だってよ、雑貨店てなんか、楽しくね?」

<それは認める>

「だろ?」

「だが、時間と金がある時にしろ」

「う、わかったよ」

 それを言われると辛い。

「我だって、嫌いではないからな。今度ゆっくり見に行くがよい。我も付き合う」

「だなっ」

 そうだ。また行こう。今度はゆっくり。でも、つい色々買ってしまいそうで怖い。

 スヴァと話しながら歩いているうちに、リッシュの店に着いた。

「おはようございまーす」

「おや、ティティじゃないか、いらっしゃい」

「えと、今日は大きなタオルが数枚欲しいんですけど」

「大きめの奴かい。それなら、こっちにあるよ」

 導かれて向かった先には、籠に入った色と素材が違うタオルがたくさんあった。「

「どれもどこかしらほつれやヨレがあるよ。だから、うちに流れてきたやつだね。後、色むらとかね」

「そんなの全然気にしないです。でも、うわあ、迷う~」

<時間がないぞ>

 再度、スヴァから注意が入る。

「う」

 わかっている。

 ゆっくり見たいがが、タオルは消耗品だし、今日は安いの優先で行こう。お金ないしね。

 籠は3つあって、左の籠が一番安かった。そこから2枚見繕った。

「こちらをお願いします」

 リッシュにタオルを見せる。

「はいよ! 1枚銀貨1枚と大銅貨5枚だから」

「銀貨3枚ですね」

「ティティ、相変わらず計算が早いね」

 リッシュが感心したようにティティを見る。

「へへ。お金の計算できないと、1人だから大変ですから。必死でできるように勉強しました!」

「そうかい。そうだね。えらいね! 頑張り屋だ! よし! この小さいタオルおまけだ!」

「やった! ありがとうございます!」

 嬉しい。小さいタオルでもあるのとないのとえらい違うのだ。

「でも、リッシュさん、いつもおまけしてもらって大丈夫ですか?」

 あまりに気前が良すぎて心配になる。

「何、大丈夫さ! 取れるところから、沢山とるから心配ないさ!」

 なにそれ。ちょっと怖い。

 深くは聞くまい。

「なら、いいです! ありがとうございます!」

 ささっとリュックにタオルをしまい、にっこり笑顔でお礼。

 笑顔は無料だ。

「うん。また来な!」

「はい!」

<うむ。最短で買い物できたな>

「ふ、俺だってやればできるんだ」

 心持胸を張ったティティはリッシュの店を後にした。

 さて、次はお待ちかねのデルコの店だ。

 保温筒出来てるかな。出来てて欲しい!


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