おまけ56・久美子、あり得ない光景に動揺する
ギャオオオオン!
私は自分の受け持ちのコカトリスを1発で倒したので、今度はケルベロスの胴体にドラゴンキラーの徹甲弾を撃ち込んだ。
当然即死。
徹甲弾を撃ち込まれたケルベロス、その1発で胴体を引き裂かれるような大ダメージを受けていた。
……まぁ、ひとたまりもないよね。
ケルベロスは小石川さんと戦闘中で、その3つの頭の2つまでが潰されていたんだけど。
そのせいで、小石川さんに集中してて。
隙だらけだった。
……徹甲弾は高いけど、撃ち込むしかないよね。
他人の仕事ですから知りませんなんて。
チームプレイが大切である四天王の一般業務でそれはありえないでしょ。
「……流石。ドラゴンキラーの破壊力には敵わないわね」
小石川さんが愛用の短剣2つを腰の後ろの鞘に納めながら、私のドラゴンキラーの破壊力を苦笑しつつ褒めてくれる。
……まぁ、ドラゴンキラーの性能と、私の能力は別なんだけど。
「オレの獲物まで殺られなくて良かったよ」
私より先に、自分の受け持ちのストーンエイプを倒してしまった佐倉さんが、支給装備の片手斧「ジャガーノート」を肩に担ぎながら笑ってる。
なんか満足そうだった。
……なんか私は、佐倉さんから優越感みたいなものを感じた。
マウントって言って良いんだろうか?
「では早速大河さんを追いかけましょう」
でも小石川さんの言葉で。
それで私は佐倉さんのマウント疑惑を忘却した。
そんなの別にどうでもいいし。
ぶっちゃけ。
私は使い魔を飛ばして、夫の行方を探した。
意識を集中して。
すると……
原発の大きな貯水槽……恐らく使用済み核燃料の保存用プールの前で。
黒衣の男と剣で戦っている夫を発見した。
見た瞬間、ものすごい違和感を感じたよ。
……刃物が効かない夫と、何で剣での戦いが成立するの?
私の夫の戦闘スタイルは……
元々は、物理攻撃が一切効かない身体と、ライオンの身体能力を下敷きに。
鍛え抜いた剣術の腕と、何でも切断できる斬鉄剣。
これで一気に敵を圧し潰す。
そういう戦い方だ。
普通に考えると夫に戦いを挑まれた時点で相手は終わるんだよね。
戦いにはならないんだよ。
この戦闘スタイルは、四天王になって多重魔力保持者になったせいでさらに凶悪になり。
ここに火炎無効、洗脳、念動力まで追加されたんだよ。
なので……戦ってるわけが無いんだよ。
その前に終わるもん。勝てるわけが無いから。
……夫の名誉のために言うけれど。
私の夫は「相手に屈辱を与えるための」舐めプレイという名のマウントは取らない。
戦いが避けられなくて、戦いになったなら。
速やかに勝つことを第一に考えて戦う。
楽に勝つために一芝居打つようなことはするかもしれないけど、自分が優越感を得たいから、みたいな性格の悪いことはしない。
だから変なんだ。
なので私は……
使い魔を、蠅から小鳥に変えた。
蠅より少し射程が短くなるけど、代わりに会話が出来る。
そういう形態だ。
……そして私は、夫の下に降り立った。
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