自分に自信を持てない四天王構成員が、ハーレムで伴侶を探す話。

XX

1章:四天王

第1話 俺の日常業務

 ゴブリン退治は、嫌だ。

 でも、やんないといけないんだよな。


 辺境警備隊は公務員だし。

 そしてこれ、公務員の仕事なんだし。


 俺は心でグチグチ言いながら、洞窟の中を見回す。

 どこから来るか分かんないしな。


 見渡す限り、岩、岩、岩。

 じめじめしてる。


 あと、排泄物の臭いがするな。

 臭い。


 念のために装着してるゴーグルがうっとおしい。

 視界が狭まるし、こういうのをつけてるときに限って、目が痒くなる。


 できれば外したいけど、そういうわけにもいかないし。


 ……しょうがない。


「人間だぞー!」


 ……あまりにも動きが無いので、言ってみた。

 襲ってきてくれないかな?


 ゴブリンども、知能はクソガキレベルで体力もその程度。

 そして残虐性はケダモノ並み。


 そんなの襲ってきても、別に怖くない。

 余裕。


 残虐だろうが、クソガキ相手なら何人相手にしても負けないし。


 すると


 ヒュッ


 闇の奥から、矢が飛んで来た。

 多分、鏃にうんこを塗ってるんだろうな。

 お手軽な毒だし。


 俺はその、飛んでくる矢に気づき。


 そのまま、そこにいた。

 特に回避行動は取らない。


 矢は俺の首筋に命中。

 服には当たらなかった。

 着用している、辺境警備隊の濃緑色の制服には。


 ……服が汚れなくてよかった。


 俺は、どう、と倒れた。

 仰向けに。


 それと同時に


「クセス ウォロア!」


 ガラスを引っ掻いたような変な鳴き声を上げて、ゴブリン共が現れた。

 小柄で体色緑色、身に着けている衣服は、腰回りに巻き付けている布だけ。

 目が飛び出していて、鼻が長い。そして目立つ犬歯。

 ハッキリ言って、醜い。


 醜い、魔物。

 それが3体。


 さっき、変な鳴き声、って表現したけどさ。

 多分あれ、魔界語なんだよな。

 俺、魔界語は読み書きだけで、リスニング全然だからさ。

 分かんないんだけど。


 なんて言ったんだろうか?


 愚かな人間が! あっけなかったぜ!


 かな?


 まあ、どうでもいいけど。


 闇の中から出てきたそいつらは、手にナイフやら、弓矢やらを持ってる。

 いつも思うんだが……こいつらの武器、どこで調達してんのかね?

 やっぱ、魔界なんかな?


 そう、ちょっと思ったけど。


 どうでもいいや。


 俺はむくりと起き上がり、そして右腰のホルスターから拳銃を抜き、一番後ろにいた、弓を持ったゴブリンを撃った。

 パン、と軽い音がする。


 ギャッ、という悲鳴をあげてそいつは倒れた。


 ……ああ、やつら。


 倒したはずの相手が生きてて、攻撃して来たから混乱してるな。


 ちょうどいいや。


 俺はその隙に立ち上がり、拳銃をホルスターに戻して、今度は左腰に吊るしていた日本刀を抜いた。

 俺の、愛刀。


 斬鉄剣。


 ……これを愛刀と言ってしまうのは、ちょっと負い目があるんだけどな。

 でも、手放せないからしょうがないんだ。


 これが無いせいで、仕事できなくなったら……俺、終わるし。


 抜きつけ時に、俺はゴブリンの首を刎ねた。

 所謂居合切り。


 一番近いところにいたやつを斬首した後、俺は斬鉄剣を上段に構えて踏み込み、そのすぐ後ろに居たヤツの肩口から脇腹まで袈裟で斬り下ろす。

 そいつは身体を斜めに切断され、悲鳴もあげることができないまま死んでいった。


 ……3体、か。

 楽勝だね。


 装備と条件がいいからな。

 こんなの、誰でもできるんだよな。俺と同じ状況なら。


 そのとき


 ザザッ、と音がして、通信が入って来た。


 上司からだな。通信機を胸から取り出す。


「……はい。こちら藤井です」


『こちら、洞窟出口は動きなしだ。どうだ?』


 なるほど。

 俺を出し抜いて、外に逃げたヤツはいないんだな。

 良かった。


「さっき、3体駆除しました。今のところ分かれ道もありません。このまま進みます」


 そう、状況を報告。

 すると


『まぁ、魔力保持者のキミなら、ゴブリン駆除なんぞ造作も無いのは分かってるが……一応言っておく。気をつけるように』


 ……一応、気遣いしてくれるんだよね。そこは嬉しいよ。

 こういうのが、就職して良かったと思うところだわな。


「もちろんです。では、見張りよろしく頼みます」


 そう言って、俺は通信を切った。


 ……さて。いくか。


 俺は仕事をこなさなければならない。

 ゴブリン退治は俺にとってはくだらない仕事だけど、俺以外だと死人が出るときがある。

 だから、他人に任せるのは抵抗があるんだ。


 だからこの依頼が辺境警備隊に回ってくると、俺はいつも引き受けていた。

 1人で。


 俺ならゴブリンにやられないからな。物理的に。


 だって俺は……この俺、藤井大河ふじいたいがは……

『ネメアの獅子』の魔力保持者だから。


―――――――――

ハーレムものを銘打ってますので、私の作品では珍しいのですが、主人公は複数のヒロインと関係します。

ただ、カクヨムですのであまりしっかりとは書きません。


本作を面白いと思って下さった方、★や応援コメントをいただけますと嬉しいです。

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